アニオンギャップ(Anion gap;以下AG)は代謝性アシドーシスの鑑別、pHなどが正常な場合に代謝性アシドーシスを発見するツールになりますので、必ず計算すべきとされていますし、多くの血液ガス分析の結果に自動的に計算されていることが多いと思います。
アニオンギャップは通常以下のように計算されます。
AG=Na−(CL+HCO3)
正常値は12程度ですが、最近はもっと低い値なのではないかと言われています。日本やアメリカではこれで良いのですが、ヨーロッパなどは以下のようにカリウムを含んでいます。
AG=(Na+K)−(CL+HCO3)
自動的に計算されるAGはこちらのことが多い(私が知るかぎり血液ガスの検査器械はドイツ製が多い)のでチェックしておく必要があります。
何故このような値を算出する必要があるのかについては別に学んで頂ければ良いですが、この値がマイナスになることはまずありません。しかし、こちらの論文には、AGがマイナスになった症例が載っています。是非ご覧ください。
理由としては大量のアセチルサリチル酸(アスピリンをたくさん飲んで自殺を測った患者さんです)が間違ってCLとして測定されてしまったと言うことが書かれています。AGはCLが増えれば低下しますからね。
CLが間違って高値を示す疾患は他にもいくつかあり、Brを含んだ睡眠薬の中毒(発売が禁止された国も多いのですが、日本ではまだ売られています)や造影剤投与後などもあります。
AGが47でもビックリするぐらい高いですが、−47だったらもっとビックリするかも知れませんね。