昨日紹介した論文のタイトルは「Bedside rule secondary response in metabolic acid-base disorders is unreliable」です。日本語にすれば、「代謝性アシドーシスにおける代償性反応を簡単に予想できる式は信頼できない」と言う感じです。
原文を読んでみました(ネットでは雑誌の購読者しか読めませんが、ある方法で原文を手に入れました)。
ハリソン内科学やUpToDate、American College of Physicians guidelineにも、HCO3+15が紹介されていて、不正確だから削除すべきだという内容です。
ハリソンは持っていないのですが、UpToDateはたぶん「Approach to the adult with metabolic acidosis(成人の代謝性アシドーシスへのアプローチ)」という文献で、Winterの式、HCO3+15以外に以下を紹介しています。
pHの小数点以下とPCO2が同じという物です。pHが7.25ならpCO2は25ぐらいだというのです。
これら三つとも使用できると書いています。
論文では、代謝性アシドーシスではWinterの式とHCO3+15、代謝性アルカローシスでは0.7×([HCO3]−24)+40とHCO3+15を比較して、差がある(最大6)から良くないと書いているのですが、もしかしたらHCO3+15の方が正しいのかも知れないのに、それについてのコメントはありませんでした。
そもそも、例えばHCO3が15だった場合の正しい?PCO2はいくらなのかどうやって決めるのでしょうか?
人間の身体は色々ですし、Winterの式も±2なので、最大4の差があるわけですから、簡単に15を足すということで良いのではないかと思いました。
気になる方は、電子カルテにひな形を入れておけば良いと思います。簡単にコピー出来ますから、代謝性アシドーシスでは40−1.25×(24−[HCO3])、代謝性アルカローシスでは40+0.75×([HCO3]−24)と書いておいて計算すれば良いかもしれません。
もっと気になる方は、全ての方法で計算して比較し、どれを採用するか考えたら良いと思います。
しかし、呼吸性アルカローシスと判断しても呼吸性アシドーシスと判断しても、大切なのは患者さんの状態であり、あまり厳密に考える意義はないのかもしれません。単純に患者さんの状態とPCO2の値だけで今後の介入を考えても良いでしょう。
なので、私はHCO3+15、あるいはpHの小数点以下がPCO2と言う簡単な物をお勧めします。大切なことは、これらは不正確な可能性があると知っていることです。禁忌な治療であっても、禁忌だと知っていればやって問題ないです。それでもやりたいわけですし、禁忌である理由(その為に起こり得る副作用)に気をつけますので。
血液検査を読みながら色々学べたらと思います。 難しいことは分かりませんから、できるだけ簡単に! よって一つの記事に少しのことしか書かないようにしています。物足りない方はこのブログを読む必要のない知識のある方です。色々教えていただければ幸いです!
2020年3月17日火曜日
PCO2=HCO3+15はだめ?
以前代謝性アシドーシスや代謝性アルカローシスの場合に、PCO2がHCO3+15位になればちょうど良い代償性変化だと書きました。
しかし、最近読んだHospitalistと言う雑誌の特集に、HCO3+15は「勧められない」と書かれていました。
がーん!!
その雑誌はHospitalistの最新刊で、Vol.7、P.868-875, 2019です。内科エマージェンシーの特集で「代謝性アシドーシス」のところです。
こちらの論文で不正確だと指摘されているそうで、以下の式(Winters formula)を推奨しています。
PCO2=1.5×[HCO3]+8±2
濃度を表す時には、[]を使うのが正しいのだだそうです。きっと学生時代に習ったんでしょうが、忘れてしまいました、、、、、、また、本当はHCO3の後に「-」等電荷を上付きでつけなければなりませんが、入れ方が分かりません、、、、、、すみません。
以前紹介した本「酸塩基平衡の考え方(南江堂)」のP.108-109には、両者の計算値が載っています。一番正しい?PCO2の予想は、代謝性アシドーシスでは予想PCO2=PCO2−(24−HCO3)×1.25だそうで、代謝性アルカローシスでは、予想PCO2=PCO2+(HCO3−24)×0.75だそうです。
HCO3+15は、HCO3が正常値から外れるに従って予測値と大きく差が出てきます(と言っても4は越えない)。
Winters formulaは、代謝性アシドーシスに限って使う物のようですが、軽度のアシドーシスの時には予測値と外れています(が同じように4は越えません。何とHCO3が24の時が一番差が大きい)。
よって、代謝性アルカローシスと軽度の代謝性アシドーシスではHCO3+15を用い、HCO3が14を切るぐらいの重症な代謝性アシドーシスではWinnters fomulaを使うのが良いかもしれません。しかし、Winterus fomulaは±2と言うのがついていて、曖昧ですよね。
と言うか、最初から代謝性アシドーシスならHCO3の変化×1.25を引き、代謝性アルカローシスならHCO3の変化×0.75を足せばイイじゃない!ってことになりませんかね。アシドーシスは1.25、アルカローシスは0.75を覚えるのが大変なので、+15を覚えれば良いので、HCO3+15で良いんじゃないでしょうか。人間の身体は計算通りにはいきませんしね。
<今回の極論ポイント>
呼吸性代償はやはりHCO3+15で良いでしょう。
しかし、最近読んだHospitalistと言う雑誌の特集に、HCO3+15は「勧められない」と書かれていました。
がーん!!
その雑誌はHospitalistの最新刊で、Vol.7、P.868-875, 2019です。内科エマージェンシーの特集で「代謝性アシドーシス」のところです。
こちらの論文で不正確だと指摘されているそうで、以下の式(Winters formula)を推奨しています。
PCO2=1.5×[HCO3]+8±2
濃度を表す時には、[]を使うのが正しいのだだそうです。きっと学生時代に習ったんでしょうが、忘れてしまいました、、、、、、また、本当はHCO3の後に「-」等電荷を上付きでつけなければなりませんが、入れ方が分かりません、、、、、、すみません。
以前紹介した本「酸塩基平衡の考え方(南江堂)」のP.108-109には、両者の計算値が載っています。一番正しい?PCO2の予想は、代謝性アシドーシスでは予想PCO2=PCO2−(24−HCO3)×1.25だそうで、代謝性アルカローシスでは、予想PCO2=PCO2+(HCO3−24)×0.75だそうです。
HCO3+15は、HCO3が正常値から外れるに従って予測値と大きく差が出てきます(と言っても4は越えない)。
Winters formulaは、代謝性アシドーシスに限って使う物のようですが、軽度のアシドーシスの時には予測値と外れています(が同じように4は越えません。何とHCO3が24の時が一番差が大きい)。
よって、代謝性アルカローシスと軽度の代謝性アシドーシスではHCO3+15を用い、HCO3が14を切るぐらいの重症な代謝性アシドーシスではWinnters fomulaを使うのが良いかもしれません。しかし、Winterus fomulaは±2と言うのがついていて、曖昧ですよね。
と言うか、最初から代謝性アシドーシスならHCO3の変化×1.25を引き、代謝性アルカローシスならHCO3の変化×0.75を足せばイイじゃない!ってことになりませんかね。アシドーシスは1.25、アルカローシスは0.75を覚えるのが大変なので、+15を覚えれば良いので、HCO3+15で良いんじゃないでしょうか。人間の身体は計算通りにはいきませんしね。
<今回の極論ポイント>
呼吸性代償はやはりHCO3+15で良いでしょう。
2020年3月13日金曜日
Stewart法を用いた解釈
昨日の症例です。
高齢の男性が、著明な循環血液量減少にて来院されました。意識は清明でしたが、脈拍数は135/分で血圧は100前後でした。
血液ガス分析のデータ
pH 6.785
PCO2 28.5 mmHg
PO2 226 mmHg(酸素10リットル/分投与)
HCO3 4.2 mmol/L
BE -30.7 mmol/L
Lac 19.15 mmol/L
血液生化学検査のデータ
Na 127 mEq/L
K 4.6 mEq/L
CL 92 mEq/L
P 16.9 mg/dL
Alb 2.4 g/dL
Stewart法では、血液ガス分析以外にNaとCL(血液ガス分析で出てくるNa、CLを用いるとNa-CLの差が小さくなりがち)、アルブミンとリンをオーダーしておくのでした。
①アルブミンとリンを見る。
アルブミンとリンは酸になります(水溶液中で水素イオンを放出するそうです)。これらが低い場合はアルカローシス、高い場合にはアシドーシスとなります。一般的にアルブミンは低く、リンは高い時が影響があります。アルブミンが高いことはあまりなく、リンはもともと低いので、低くなっても大きな影響は少ないためです。
この患者さんでは低アルブミン血症があり、高リン血症がありますので、代謝性アルカローシスとアシドーシスどちらもあります。
②Na-CLを見る
35であり、ほぼ正常です。正常値は36程度とされています。AG=Na-CL-HCO3より、Na-CLが低下する場合には、AGかHCO3、場合により両方が低下しています。
Na-CLが上昇する場合は、AGかHCO3、あるいは両方が上昇していると考えられます。
AGが上昇してHCO3が低下、あるいはAGが低下してHCO3が上昇などすれば大きな変化はありません。
③SID(strong ion difference)を計算する。
SID=HCO3+2.8×Alb(g/dL)+0.6×P(mg/dL)
2.8とか0.6は単位をそろえるための係数です。覚えなくても良いです。計算すると21.06となります。かなり低下しています。SIDが低下している場合はアシドーシス、上昇している場合にはアルカローシスですので、この患者さんはアシドーシスがあります。
④SIDギャップを計算する。
SIDギャップ=Na−CL−SIDです。通常はゼロになります。±2の範囲にあれば問題ありません。この患者さんでは、13.94と著明に上昇しています。これは酸が増えていることを示します。
⑤NaとCLが増えているのか減っているのか考える。
低ナトリウム血症がある場合、補正CLを計算します。
補正CL=CL×140÷Na
この患者さんは101となり正常ですが、Naは127と低下しています。
⑥PCO2を考える。
PCO2はHCO3+15ぐらいであれば問題ありませんが、それより高ければ呼吸性アシドーシス、低ければ呼吸性アルカローシスを合併していると考えます。この患者さんはHCO3+15=19.6であり、PCO2はそれより高いため呼吸性アシドーシスがあると考えます(これは昨日の記事の通常法と同じですね)。
まとめると以下のようになります。
呼吸性アシドーシス
低アルブミンによる代謝性アルカローシス
高リン血症による代謝性アシドーシス
酸の増加による代謝性アシドーシス
Naの低下すなわち希釈による代謝性アシドーシス
気管挿管をして人工呼吸管理を開始、必要ならアルブミンを投与、腎機能障害がありましたので血液浄化を、細胞外液補充液を大量投与となるでしょう。メイロンの投与は推奨されていないので使わないでしょう。
昨日と比較して何か治療に大きな変化があるかと言えば、ないような気もします。手間がかかる割に、大きな利益がないため、Stewart法はなかなか普及しないのかも知れません。
高齢の男性が、著明な循環血液量減少にて来院されました。意識は清明でしたが、脈拍数は135/分で血圧は100前後でした。
血液ガス分析のデータ
pH 6.785
PCO2 28.5 mmHg
PO2 226 mmHg(酸素10リットル/分投与)
HCO3 4.2 mmol/L
BE -30.7 mmol/L
Lac 19.15 mmol/L
血液生化学検査のデータ
Na 127 mEq/L
K 4.6 mEq/L
CL 92 mEq/L
P 16.9 mg/dL
Alb 2.4 g/dL
Stewart法では、血液ガス分析以外にNaとCL(血液ガス分析で出てくるNa、CLを用いるとNa-CLの差が小さくなりがち)、アルブミンとリンをオーダーしておくのでした。
①アルブミンとリンを見る。
アルブミンとリンは酸になります(水溶液中で水素イオンを放出するそうです)。これらが低い場合はアルカローシス、高い場合にはアシドーシスとなります。一般的にアルブミンは低く、リンは高い時が影響があります。アルブミンが高いことはあまりなく、リンはもともと低いので、低くなっても大きな影響は少ないためです。
この患者さんでは低アルブミン血症があり、高リン血症がありますので、代謝性アルカローシスとアシドーシスどちらもあります。
②Na-CLを見る
35であり、ほぼ正常です。正常値は36程度とされています。AG=Na-CL-HCO3より、Na-CLが低下する場合には、AGかHCO3、場合により両方が低下しています。
Na-CLが上昇する場合は、AGかHCO3、あるいは両方が上昇していると考えられます。
AGが上昇してHCO3が低下、あるいはAGが低下してHCO3が上昇などすれば大きな変化はありません。
③SID(strong ion difference)を計算する。
SID=HCO3+2.8×Alb(g/dL)+0.6×P(mg/dL)
2.8とか0.6は単位をそろえるための係数です。覚えなくても良いです。計算すると21.06となります。かなり低下しています。SIDが低下している場合はアシドーシス、上昇している場合にはアルカローシスですので、この患者さんはアシドーシスがあります。
④SIDギャップを計算する。
SIDギャップ=Na−CL−SIDです。通常はゼロになります。±2の範囲にあれば問題ありません。この患者さんでは、13.94と著明に上昇しています。これは酸が増えていることを示します。
⑤NaとCLが増えているのか減っているのか考える。
低ナトリウム血症がある場合、補正CLを計算します。
補正CL=CL×140÷Na
この患者さんは101となり正常ですが、Naは127と低下しています。
⑥PCO2を考える。
PCO2はHCO3+15ぐらいであれば問題ありませんが、それより高ければ呼吸性アシドーシス、低ければ呼吸性アルカローシスを合併していると考えます。この患者さんはHCO3+15=19.6であり、PCO2はそれより高いため呼吸性アシドーシスがあると考えます(これは昨日の記事の通常法と同じですね)。
まとめると以下のようになります。
呼吸性アシドーシス
低アルブミンによる代謝性アルカローシス
高リン血症による代謝性アシドーシス
酸の増加による代謝性アシドーシス
Naの低下すなわち希釈による代謝性アシドーシス
気管挿管をして人工呼吸管理を開始、必要ならアルブミンを投与、腎機能障害がありましたので血液浄化を、細胞外液補充液を大量投与となるでしょう。メイロンの投与は推奨されていないので使わないでしょう。
昨日と比較して何か治療に大きな変化があるかと言えば、ないような気もします。手間がかかる割に、大きな利益がないため、Stewart法はなかなか普及しないのかも知れません。
2020年3月12日木曜日
著明な循環血液量減少の患者さん
高齢の男性が、著明な循環血液量減少にて来院されました。意識は清明でしたが、脈拍数は135/分で血圧は100前後でした。
血液ガス分析のデータ
pH 6.785
PCO2 28.5 mmHg
PO2 226 mmHg(酸素10リットル/分投与)
HCO3 4.2 mmol/L
BE -30.7 mmol/L
Lac 19.15 mmol/L
血液生化学検査のデータ
Na 127 mEq/L
K 4.6 mEq/L
CL 92 mEq/L
P 16.9 mg/dL
Alb 2.4 g/dL
AG 35 アルブミン補正をすると 36.56
まず酸素化能です。
A-aDO2=(760-47)×0.9−226−28.5÷0.8=380.1となるため、激しい酸素化能障害があります。代償性ショック状態ですので大量輸液と気管挿管となりました。
pH<7.4でPCO2<28.5のため、これは代謝性アシドーシスであると分かります。
代謝性変化の時は、PCO2=HCO3+15程度であれば代償の範囲だと分かります。計算すると19.2であり、PCO2はそれより高いです。よって、呼吸性アシドーシスを伴っています。
ΔAG=36.56−12=24.56で、補正HCO3=HCO3+ΔAG=28.76となり、軽度の代謝性アルカローシスも伴っています。もしかしたら、AGが上昇しない代謝性アシドーシスもあるかも知れません。
診断をまとめると以下のようになります。
酸素化能障害(気管挿管が必要)
呼吸性アシドーシス
AG上昇型代謝性アシドーシス
代謝性アルカローシス(AG非上昇型代謝性アシドーシスもあるかも)
次回はこの患者さんをStewart法で解釈します。
血液ガス分析のデータ
pH 6.785
PCO2 28.5 mmHg
PO2 226 mmHg(酸素10リットル/分投与)
HCO3 4.2 mmol/L
BE -30.7 mmol/L
Lac 19.15 mmol/L
血液生化学検査のデータ
Na 127 mEq/L
K 4.6 mEq/L
CL 92 mEq/L
P 16.9 mg/dL
Alb 2.4 g/dL
AG 35 アルブミン補正をすると 36.56
まず酸素化能です。
A-aDO2=(760-47)×0.9−226−28.5÷0.8=380.1となるため、激しい酸素化能障害があります。代償性ショック状態ですので大量輸液と気管挿管となりました。
pH<7.4でPCO2<28.5のため、これは代謝性アシドーシスであると分かります。
代謝性変化の時は、PCO2=HCO3+15程度であれば代償の範囲だと分かります。計算すると19.2であり、PCO2はそれより高いです。よって、呼吸性アシドーシスを伴っています。
ΔAG=36.56−12=24.56で、補正HCO3=HCO3+ΔAG=28.76となり、軽度の代謝性アルカローシスも伴っています。もしかしたら、AGが上昇しない代謝性アシドーシスもあるかも知れません。
診断をまとめると以下のようになります。
酸素化能障害(気管挿管が必要)
呼吸性アシドーシス
AG上昇型代謝性アシドーシス
代謝性アルカローシス(AG非上昇型代謝性アシドーシスもあるかも)
次回はこの患者さんをStewart法で解釈します。
2020年3月6日金曜日
HCO3 act、standって何?
血液ガス分析のデータを良く見てみると、HCO3はHCO3 actとかHCO3 standとか書かれています。当院は「HCO3act」となっています。PO2とか書かれていますし、下付き文字が難しいようですね(HCO3の3が下付に見えますが、フォントの関係です)。
研修医の時に疑問に思って検査室の人に聞いた記憶があるのですが、分からないと言われてしまい、当時はインターネットも普及していない時代だった(パソコンも持っていませんでした)ので、そのままになっていました。しかし、最近勉強して見つけました!
結論から言えば、いくつかのHCO3が書かれていたら、act(正確にはacutual)だけ見れば良いです。
actual HCO3は、pHとPCO2から計算された値です。HCO3は実際に測定していないんですよ。知っていましたか?計算式はpH=6.1+log(HCO3/0.03×PCO2)の関係から計算できます。
HCO3 standはstandard HCO3の略です。これは、PCO2を40mmHgとした場合のHCO3の値です。呼吸性の異常がなければ、HCO3 actとHCO3 standは同じ値だそうです。定義から言えばそうですね。
act>stand 呼吸性アシドーシス
act<stand 呼吸性アルカローシス
だと、こちらのサイトからダウンロードできるPDFファイルのP.88に書いてありました。
酸塩基平衡の考え方(丸山一男著、南江堂)P.17には、HCO3 standが高ければ代謝性アルカローシス、低ければ代謝性アシドーシスと考えて良く、代償性変化をするHCO3actよりも重視する先生がいると書かれています。
う〜ん、よく分かりませんし、当院のデータにはHCO3 standが出てきませんので、このデータは忘れても良いですね!HCO3 actのactは気にしないで良いと言うことだけ覚えておきましょう。
研修医の時に疑問に思って検査室の人に聞いた記憶があるのですが、分からないと言われてしまい、当時はインターネットも普及していない時代だった(パソコンも持っていませんでした)ので、そのままになっていました。しかし、最近勉強して見つけました!
結論から言えば、いくつかのHCO3が書かれていたら、act(正確にはacutual)だけ見れば良いです。
actual HCO3は、pHとPCO2から計算された値です。HCO3は実際に測定していないんですよ。知っていましたか?計算式はpH=6.1+log(HCO3/0.03×PCO2)の関係から計算できます。
HCO3 standはstandard HCO3の略です。これは、PCO2を40mmHgとした場合のHCO3の値です。呼吸性の異常がなければ、HCO3 actとHCO3 standは同じ値だそうです。定義から言えばそうですね。
act>stand 呼吸性アシドーシス
act<stand 呼吸性アルカローシス
だと、こちらのサイトからダウンロードできるPDFファイルのP.88に書いてありました。
酸塩基平衡の考え方(丸山一男著、南江堂)P.17には、HCO3 standが高ければ代謝性アルカローシス、低ければ代謝性アシドーシスと考えて良く、代償性変化をするHCO3actよりも重視する先生がいると書かれています。
う〜ん、よく分かりませんし、当院のデータにはHCO3 standが出てきませんので、このデータは忘れても良いですね!HCO3 actのactは気にしないで良いと言うことだけ覚えておきましょう。
2020年3月5日木曜日
電解質は生化学検査で判断しましょう
血液ガス分析をすると、たぶん今使っている器械であれば、一緒にナトリウムとカリウム、クロールとカルシウムが測定されると思います。自動的にAG(アニオンギャップ)が計算されて、非常に便利です。
しかし、血液ガス分析で出されたAGはやや低めに出るそうです。それは電解質を全血で測定しているため、Naはやや低く、CLはやや高めに出るそうです。AGはNa-CL-HCO3ですので、Naが下がってCLが上がれば低くなります。
面倒ですが、生化学のNaとCLを使いましょう。ちなみにですが、偽性低ナトリウム血症は血液ガス分析の器械では起こらないようなので、生化学検査でナトリウムが低い場合、血液ガスでも低ければ、偽性低ナトリウム血症は除外して良いのかもしれません。当院は浸透圧が至急で測定出来るので、浸透圧をオーダーすれば良いですが、経営を考えて出来るだけ検査を少なくしたければ、血液ガス分析で判断しても良いかもしれませんね(当院では、救急車で来た患者さんは、看護師さんが静脈血の血液ガス分析をルチンにしてくれます)。
例えば、ある重症な患者さんのデータを示します。
血清Na 127
K 4.75
Cl 92
血糖 375
血液ガスでのNa 132.4
血液ガスでのCl 99
HCO3 4.2
自動で計算されたAG 34.0(たぶんAG=Na+K−CL−HCO3で計算している)
血液ガスの値を用いて計算 29.2
血清を用いて計算されたAG 30.8
そんなに大きな差はありませんが、1.6程度AGが低くなっています。
この事を血液ガス分析の器械を売っている業者さんに言ったら、うちは血液ガス分析が専門で、電解質測定はオプションですので、、、、、、、と言われたと言う噂です。
しかし、血液ガス分析で出されたAGはやや低めに出るそうです。それは電解質を全血で測定しているため、Naはやや低く、CLはやや高めに出るそうです。AGはNa-CL-HCO3ですので、Naが下がってCLが上がれば低くなります。
面倒ですが、生化学のNaとCLを使いましょう。ちなみにですが、偽性低ナトリウム血症は血液ガス分析の器械では起こらないようなので、生化学検査でナトリウムが低い場合、血液ガスでも低ければ、偽性低ナトリウム血症は除外して良いのかもしれません。当院は浸透圧が至急で測定出来るので、浸透圧をオーダーすれば良いですが、経営を考えて出来るだけ検査を少なくしたければ、血液ガス分析で判断しても良いかもしれませんね(当院では、救急車で来た患者さんは、看護師さんが静脈血の血液ガス分析をルチンにしてくれます)。
例えば、ある重症な患者さんのデータを示します。
血清Na 127
K 4.75
Cl 92
血糖 375
血液ガスでのNa 132.4
血液ガスでのCl 99
HCO3 4.2
自動で計算されたAG 34.0(たぶんAG=Na+K−CL−HCO3で計算している)
血液ガスの値を用いて計算 29.2
血清を用いて計算されたAG 30.8
そんなに大きな差はありませんが、1.6程度AGが低くなっています。
この事を血液ガス分析の器械を売っている業者さんに言ったら、うちは血液ガス分析が専門で、電解質測定はオプションですので、、、、、、、と言われたと言う噂です。
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