2020年6月30日火曜日

パルスオキシメーターは機能的動脈血酸素飽和度を測定しています。

 今回は手抜きです。

 タイトルについてはこちらの論文を読んでいただけば良いです。

 以前酸素飽和度は機能的酸素飽和度と分画酸素飽和度があるとお話ししました。機能的酸素飽和度は酸化ヘモグロビン÷(還元ヘモグロビン+酸化ヘモグロビン)で求められます。パルスオキシメーターはこちらを求めます(でないものもあるようですが)。

 ヘモグロビンは酸化と還元以外に一酸化炭素ヘモグロビン、メトヘモグロビンなどがあります。分母にこれら全てのヘモグロビンを入れた物が分画酸素飽和度です。

 よって、機能的酸素飽和度>分画酸素飽和度です。例えば一酸化炭素中毒では、通常のパルスオキシメーターは、一酸化炭素ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンを区別できないので、機能的酸素飽和度>>分画酸素飽和度となります。

 血液ガス分析は静脈血で行って、酸素化はSpO2で見れば良いよと言う考えは、だいたい正しいのですが、時におかしな事になるので、動脈血で血液ガス分析を行うのは大切なことです。

2020年6月29日月曜日

体温が低い患者さんは補正すべきなのか?

 低体温の患者さんが救急車で運ばれることがあります。低体温は色々な注意をしなければならない重症患者さんです。

 血液ガスデータもきちんと解析したいですね。以下の本のP.373には温度が1度低下する毎に、pHは0.015低下し、PaCO2は4.3%低下するとあります。

 ちなみに、血液ガスは、検体を37度に温めて検査をしています。体温が30度だった患者さんであっても、検体は37度に温められて検査されています。


  何故PCO2が低下するのか考えたのですが、分かりませんでした!こちらの文献も読んだのですが、、、、、、トホホ。

 ボイル・シャルルの法則と言うのがあり、PV=nRTと言う公式を覚えている方もおられると思いますが、温度が下がればPVは下がります。同じ一気圧がかかっているので、Pは下がらないのではないかと思ったのですが、PCO2もPO2も下がるのだそうです。しかし、溶解度は増えるとのことで、ちんぷんかんぷんです。私は化学が理科の中で最も苦手だったのです!

 と言うことで、化学が苦手な皆さんに朗報です。色々議論はあるようなのですが、低体温の患者さんでも、打ち出されたデータに基づいて治療をすればいいです。そのような方針をαーstatと言います。低体温患者さんが来院されたら、格好良く、「血液ガスはアルファスタットでいこう!」と言いましょう。

 また、体温の補正をしたい場合、多くの器械は患者さんの体温を入れるところがありますので、入れておけば自動的に補正されます。その際はpH-statと言うようですが、「ピーエッチスタットで行こう」と言いましょう。間違ってもペーハースタットと言わないように。若い人はピーエッチと習っているようですから。ペーハーは歳よりの証拠です。

 もっと詳しく勉強したい方は、こちらこちらのサイトをご覧ください。英語です。

2020年6月28日日曜日

溶存酸素の係数は何故0.003か

 血液中に酸素がどのぐらい含まれているか?を知るには、酸素含有量という指標が必要です。動脈であれば、CaO2と言います。

 CaO2=Hb結合酸素+溶存酸素
 =1.39×Hb濃度×酸素飽和度+0.003×PaO2

 Hb結合酸素の係数「1.39」については別に解説しましたので、良かったらご覧ください。

 さて、今日は0.003についてです。こちらのサイトに書いてありますので読んでください。勉強になりますし面白いです。高校までの化学の知識も復習になります、、、、、、たぶん。

 さて、そのサイトの3ページ目に載っていますが、溶存酸素の係数の求め方です。と言うか、普通は求める必要はありません(^^)。

 気体が液体に溶ける量は分圧に比例しますが、通常の我々の環境であれば、1気圧、つまり760mmHg中の割合に比例します。また気体によって液体への溶けやすさが違います。それを表した係数がブンゼン係数と言い、酸素は0.024だそうです。CaO2は「/dL」で表すので、PaO2が1mmHgの時の溶存酸素の量は以下の通りです。1dL=100mlです。

 1÷760×0.024×100=0.00315789

 となります。よって、溶存酸素の係数は0.003、あるいは本によっては0.0031となっています。0.0032じゃないのか?等と細かいことを言っていると女性にもてませんので注意しましょう。たぶんですが、血液は純粋な水ではありませんから、ブンゼン係数が多少変化するのでしょう。まあ、臨床ではPaO2が100であっても0.3ml/dLしかなく(CaO2は20ml/dL程度です)1.5%程度ですので、無視してCaO2=Hb結合酸素と考えても問題ない場合が多いです。

 ちなみに、何故「/dL」なのか?よく分かりませんが、Hbも「g/dL」ですので、「/dL」が扱いやすいのではないでしょうか。

2020年6月27日土曜日

条件を変更後何分経ったら血液ガスをとっていいか?

 血液ガスをいつとったら良いのか?は大変悩ましい問題です。

 患者さんの状態を緊急で判断したい場合には、酸素を今始めたばかりだろうが、人工呼吸器をつけたばかりだろうが、今すぐ採血すれば良いです。pHが7を切っているんじゃないか、PaCO2が70を超えているんじゃないか、カリウムが高いのじゃないか、乳酸がかなり高いのじゃないか?等と思う場合です。

 しかし、緊急ではなく、今酸素投与量を増やしたんだけど、この酸素の量で良いのだろうか?人工呼吸器の設定を変えたんだけど、いつ採血したら人工呼吸管理の設定がちょうどいいと判定できるのだろう?と思うことがありますよね。本には患者さんが安定したら採血をすると書かれていますが、何分経ったら安定するのでしょうか?

 今回はこちらのサイトの日本語訳です。この論文を解説してくれています。

 慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstruction pulmonary disease;以下COPD)の患者は長期間の酸素療法と血液ガス分析(PaO2とSaO2)によるモニタリングを必要とする。酸素投与量を変更した場合に、酸素の状態を評価するための採血前に、新しい定常状態に達するまでにどのぐらいの時間が必要かは重要な問題である。

 最新のいくつかのガイドラインでは、20〜30分待つことを推奨しているが、本当にそのぐらい待つ必要があるのだろうか?この疑問に対して検討した文献が最近出版された。長期酸素投与(1〜4L/分)を1日16時間以上受けているCOPD患者12名の検討である。

 12人の患者は動脈カニュラから血液ガスを採取された。酸素投与中のベースとなるPaO2とSaO2と、酸素を中止してから、1分後、2分後、4分後、8分後、12分後、17分後、22分後、32分後、34分後に採血をした。

 その後もともと投与されていた酸素を再開し、同じインターバルで血液ガス分析を行った。最初が「wash out」であり、酸素の減量をシミュレーションしている。二番目が「wash in」であり、酸素の増量をシミュレーションしている。

 検討の結果、wash in、wash out共に、PaO2が臨床的に安定に達する平均時間は5分であった。7-8分経過すれば、75%の患者が安定状態に達した。最も長い患者は14分であった。SaO2に関しては、wash outでは平均7.4分、wash inでは2.6分であった。

 より詳細な検討により、酸素を減量した場合には16分、酸素を増量した場合には10分たてば安定したと考えて良いと結論づけられている。


 人工呼吸管理の方ではなく、慢性期のCOPDの方での検討ですので、急性期の患者さん等では使えないかもしれませんが、やはりガイドラインと同じように20分は待った方が良いと言うことになりますね。

2020年6月26日金曜日

酸素飽和度の色々

 昨日の続きです。酸素飽和度とは、ヘモグロビンにある酸素の座席がどのぐらい埋まっているか?と言う指標です。

 一番身近なものはパルスオキシメーターによって測定された酸素飽和度ですが、血液ガス分析の器械のはじき出すデータをきちんと見ると、酸素飽和度が二つあるはずです。sO2とFO2Hbなどとなっているものです。

 sO2あるいはO2SATなどと表示されている物は、機能的酸素飽和度と呼ばれています。以下の式で求められます。
 機能的酸素飽和度=酸素ヘモグロビン÷(酸素ヘモグロビン+脱酸素ヘモグロビン)

 またFO2Hbは、分画酸素飽和度と呼ばれる物で、Fはfractionの略で、酸素濃度などもFIO2とFが使われています。以下の式で求められます。
 分画酸素飽和度=酸素ヘモグロビン÷全ヘモグロビン

 分画酸素飽和度は、機能的酸素飽和度の分母に一酸化炭素ヘモグロビンとかメトヘモグロビンとか色々なヘモグロビンを足した物です。よって、分画酸素飽和度の方がやや低いのが一般的です。

 そして、昨日の計算式の係数は1.39が正式であり以下のように分画酸素飽和度を用いるべきです。
動脈血酸素含有量(CaO2)=1.39×Hb×分画酸素飽和度+0.0031×PaO2

 しかし、酸素飽和度が機能的酸素飽和度でしか求められない場合もあったりして、その際は係数が1.39では大きすぎるということなのでしょう。

2020年6月25日木曜日

酸素含有量の係数は何故1.34だったり1.35だったり、1.36だったり1.39だったりするのか?

 血液ガス分析をする時に、必須の計算ではありませんが、酸素含有量を計算する時があります。動脈血1dLに含まれる酸素の量(vol%)です。末梢組織に酸素がどのぐらい運ばれているのか?を考える時に必要です。

 ちなみにですが、大気の酸素濃度は20.9%と言いますが、割合を示しているだけで、量がどのぐらいあるかは分かりません。大気が1リットルあれば、209mlの酸素があるわけですが、100mlしかなければ、20.9mlしかありません。
 分圧も同じで、酸素分圧が100mmHgと言っても、酸素がどのぐらいあるのかはそれだけでは分かりません。
 酸素がどのぐらいあるのかは酸素含有量を計算しなければなりません。

 酸素含有量CaO2の計算式は以下の通りです。

CaO2=1.34×Hb×SaO2+0.0031×PaO2

 この係数が1.39だったり1.36だったりと本によって色々です。何故なのでしょうか?

 以前も紹介させて頂いた本のP.80には、理論上は1.39だと書いてあります。かいつまんで箇条書きにします。

 ヘモグロビンの分子量は64500
 ヘモグロビン1gは1.55×10^-5(10の-5乗)mol(1÷64500)
 ヘモグロビン1分子には酸素が4分子結合
 ヘモグロビン1gには6.20×10^-5molの酸素が結合(1.55×10^5×4)
 0度1気圧で乾燥状態の1molの気体の体積は約22.4Lなので、ヘモグロビン1gに結合している酸素は1.39ml(22.4×6.20×10^-5)

 しかし、実際に測定すると、係数は1.34だったり1.36だったりするようです。これは酸素飽和度の問題、一酸化炭素ヘモグロビンなどの量の問題だそうです。つまり1.39などの係数の後にかけるHbや酸素飽和度が異なっているからなんだそうです。

 今回はこれだけにして、次回解説します!

2020年6月24日水曜日

慢性呼吸不全の場合

 今回も内科学会雑誌からです。2020年7月号P.1421から1426です。

 慢性的にPaCO2が高いと代謝性代償が起こります。つまりHCO3が高くなります。高いと言っても30だったり40だったり50だったりします。どのぐらいまで上がるのが正常なのか?が分からないと代謝性アルカローシスや代謝性アシドーシスを合併している時に分かりません。

 それが分かる物がsignificance bandあるいはconfidence bandと呼ばれる物です。混合性代謝異常がない(どうやって調べるのでしょうかね)慢性II型呼吸不全の患者さん(二酸化炭素分圧が高いだけ)を集めHCO3がどのぐらいだったかを調べて、横軸にPCO2縦軸にHCO3をプロットした物です。

 だいたいHCO3=24+0.35×ΔPaCO2だったそうです。ΔPaCO2=PaCO2−40です。よって、HCO3はそのぐらい(±5ぐらいでしょうか)であれば代償性変化だと判断できます。

2020年6月23日火曜日

ガラスのシリンジ懐かしい!

 昔の話をすると笑われますが、私が研修医の頃はガラスのシリンジがあり、血液ガス分析にもガラスの注射器を使っていました。当時今と同じプラスチックの注射器もあったのですが、血液ガス分析にはガラスの注射器の方が良いと言われていたのです。理由は以下の通り(Dr.大塚の血液ガスのなぜ?がわかる、大塚将秀著、学研、P.36)で、それは今でも知っておいた方が良いかもしれません。

・ガラスは気体を通さないため、採血後の気密性が保たれる。プラスチックは液体を通しませんが、気体はゆっくりですが通します。
・ピストンとシリンジの死腔にヘパリンを満たすと、全く空気に触れることなく採血が出来る。
・ピストンとシリンジ間の抵抗が非常に小さいので、動脈血から採血していると言う実感がある。

 しかし、現在は専用のシリンジが開発され、値段も安くなったのと、ガラスのシリンジが廃止された(と思われます)ので今の若い人は見たこともないでしょう。落として破損する事もありましたし、毎回洗浄するのも手間がかかるためだと思われます。

 ガラスのシリンジで採血した場合、針先をゴム栓でフタをしないと血液が出てきてしまいます。血液を落とさないようにゴム栓をするコツがあったのですが、そんな技術は今は役に立ちませんね(^^)。逆に針刺しのリスクもありますし。

2020年6月22日月曜日

代謝性アシドーシスの3ステップ法

 日本内科学会雑誌2019年6月号P.1177〜1180の受け売りです。この雑誌は1年たつと、JSTAGEで公開され、一般の人でも論文に無料でアクセスできます。

 取り上げる論文は、今月6月10日頃から一般公開される予定でしたが、何故かこの論文だけ公開されません。「苦手を得意に!血液ガスOne Step more」というシリーズで第3回なのですが、何故か第1回と2回も公開されていません。何かあったのでしょうか。

 私は内科学会に入っているので雑誌は持っており、血液ガスに関しては興味を持っていましたが、この論文見逃していました。雑誌も捨ててしまい、ネットの公開を待っていたのですが、、、、、

 代謝性アシドーシスの場合には、Boston法という方法で解析すれば簡単だそうです。3つの暗算(それも足し算と引き算のみ)をするだけです。もちろんですがpHが高い時は使えません。



 アシデミア(pHが7.35未満)であれば、ステップ(1)をします。

(1)AG(Na−CL−HCO3)を計算
  AGが12以下ならAG非上昇型(non-Gap)アシドーシス ステップ(3)へ。
  AGが12以上ならAG上昇型(Gap)アシドーシス ステップ(2)へ。

(2)Na−CLを計算
  36未満なら代謝性アシドーシス(AG非上昇型)も合併している。
  36を越えるなら代謝性アルカローシスも合併している。
  36であればAG上昇型代謝性アシドーシスのみ

(3)HCO3+15を計算
  PaCO2<HCO3+15 呼吸性アルカローシス
  PaCO2=HCO3+15 呼吸性代償
  PaCO2>HCO3+15 呼吸性アシドーシス

 この方法ではアルブミン補正が入っていませんので、アルブミン補正はした方が良いでしょう。補正AG=AG+2.5×(アルブミンの正常値−Alb)です。アルブミンの正常値は4でいいでしょう。4.4という文献もありましたが、2.5×0.4=1ですので誤差の範囲です。

 Na-CLの正常値は36だけかというとそうではないでしょう。36±5ぐらいはあると思われます。Na-CLが30以下であれば明らかにnon-Gapアシドーシスがあるでしょうし、40以上であれば代謝性アシドーシスがあるでしょう。両者が合併した場合はどうなるのか?興味深いところです。

 しかし、この方法は他の方法に含まれている物です。緊急で解釈が必要なのはアシドーシスだけではないかと思いますので、緊急時には役立つのではないかと思われます。が、極論を言えば、アシデミアであればBEと乳酸を見たら良いと思います。この二つを表示しない血液ガスの器械は今の日本にはないのではないでしょうか。BEが低い、あるいは乳酸が高い、あるいは両方があればヤバいと思えば良いです。BEは使うべきでないという意見もあるのですが、私は使うべきだと思います。後でちゃんと解析すれば良いだけです。BEだけ見て終わりでは確かにいけません。

2020年6月21日日曜日

専用のシリンジは何故血液が自然に上がってくるのか?

 血液ガス分析専用シリンジのプランジャーの先端には特殊なフィルターがつけられているそうです。当院で採用しているシリンジは以下のような物です。画像をクリックすると添付文書に飛びますので参考にしてください。



 このフィルターは乾燥していると空気を通します。よって、採血すると血液がシリンジの中に上がってきます。フィルターが血液で濡れると空気を遮断するのだそうで、採血後検査器械にセットするまで、空気中のガスと血液中のガスが行き来するのを防ぎます。

 また注射器から分注するような場合、プランジャーを完全に押し込んでおいて、血液を入れてフィルターに血液を満たすと普通の注射器と同じように使えます。

 偉そうに書いていますが、この事全然知りませんでした。フィルターを血液でぬらさずにプランジャーを引いていました。

2020年6月20日土曜日

専用シリンジがない場合

 血液ガス分析を行う場合には、専用のシリンジを使って採血します。私が研修医の頃は、このシリンジは1本2000円ぐらいしたので、検査をすればするほど病院が損をするため、ガラスの注射器を使って採血をしていました。ガラスについては後日記事を書くこととして、今回は専用のシリンジがなかった場合にどうするかというお話です。

 専用のシリンジは、普通の注射器と何が違うのでしょう?

 いくつか違いがありますが、ヘパリンが入っているのが特徴です。よって、専用のシリンジではなく、普通の注射器で採血する場合には、ヘパリンを入れる必要があります。

 何故ヘパリンが必要かというと、注射器の中で血液が固まると検査結果に異常が出る可能性があります(特にヘモグロビンやヘマトクリット)。また、検査器械の中でも血液が固まると、器械が壊れてしまうので問題となります。よって、ヘパリンが必要ですが、数単位あれば良いようです。通常は1mlで1000単位のヘパリン製剤を使っていますので、0.005ml(約10分の1滴)あれば十分です。

 ヘパリンを注射器に少し吸って、プランジャー(注射器の引っ張るところ)を動かして吸ったヘパリンを全部バイアルに戻せば良いです。それでも注射器や注射針の中にヘパリンが残ります。

 ヘパリンが多すぎるとPCO2、pHが低下します。また、ヘパリンは陰イオンなので、NaやCaなどの陽イオンと一緒になっています。ヘパリンナトリウムやヘパリンカルシウムという製剤です。これらを使うと、NaやCaの検査結果に異常が出る可能性があります。その際は別に生化学検査でNaやCaをオーダーすると良いでしょう。

 ちなみに、専用のシリンジは電解質の結果に影響が出にくい、ヘパリンリチウムが使われているそうです。また乾燥しているので、血液を薄めたりする可能性はほとんどないそうです。

2020年6月19日金曜日

大気の組成は多い順に窒素、酸素、二酸化炭素?

 大気の組成は窒素が約80%で酸素が約20%、次は二酸化炭素で0.04%(以前は0.03%だったのですが、現在増えて0.04%になったそうです)と言うことは知っていましたが、なんと、二酸化炭素よりも多い気体があるのだそうです。知りませんでした。
 以下の本の一番最初に書いてありました。こちらのサイトにもありますが、アルゴンだそうです。へえ〜です!内視鏡などでアルゴンプラズマという止血装置を使いますが、アルゴンガスが漏れても大丈夫だったんですね。


 初心者向けとのことですが、ページ数が多いだけあって情報満載です。最初の章は化学の復習ですし、所々に化学の知識が満載です。高校生の時もっと勉強しておけば!と思いました。とても勉強になる本です。

2020年6月18日木曜日

AGの正常値は低くなりつつあります

 AGについての記事が続きます。

 AG=Na−(CL+HCO3)はもう頭に入りましたよね。AGはNaが低くなったり、CLやHCO3が高くなると下がります。しかし、血液中の水分が多くなったためにNaが下がった場合には、CLやHCO3も下がるかもしれませんので、何とも言えませんね。

 以前、血液ガス分析の電解質を用いて計算するとAGは低めになることを書きました。血液ガス分析では電解質を全血で測定しています。他の影響もあるのかも知れませんが、Naは低め、CLは高めに出ます。よって、AGは低めになります。よって、私は必ず血液生化学分析の電解質を計算に使っています。

 しかし、驚くべき事に、AGの正常値が低下しつつあるんだそうです。検査値の正常値が下がり続けるって、人間の進化???と思いますが、違います。詳しいことは分かりませんが、CLを測定する器械が良くなっていて、CL濃度が上昇傾向なんだそうです。

 今はAGの正常値は12±2が一番多いようですが、イオン選択電極というのでCLを測定した場合、AGの正常値は3〜11と言う文献もあるようです。

 検査の正常値も時代と共に変わっていっているのですね。

2020年6月17日水曜日

アルブミンが低いとAGが低下する理由

 昨日の続きです。アルブミンが低いと何故アニオンギャップが低下するのか?です。

 最初にUpToDateです。「Serum anion gap in conditions other than metabolic acidosis(代謝性アシドーシス以外の状況における血清アニオンギャップ)」という文献からです。

 原文は以下の通りです。

 Albumin has many positive and negative charges due to various amino acid side chains that can either release or bind hydrogen ions. The ratio of albumin's positive and negative charges changes with the pH of the solution. At pH 7.4, albumin carries approximately 20 more negative charges than positive charges (therefore each molecule has a net charge of -20). The major unmeasured anion in serum is albumin. Thus, the serum albumin must be measured and taken into account when calculating and interpreting the serum AG.

 アルブミンは様々な陽性電荷、陰性電荷を持つアミノ酸の側鎖を持つ。その側鎖は水素イオンを放出したり受け取ったりする。アルブミンの電荷は、アルブミンが溶けている溶液のpHにより変化する。pHが7.4の場合、アルブミンは陽性電荷を持つアミノ酸より陰性電荷を持つアミノ酸が20多くなる。それによりアルブミン分子は全体として−20の電荷を持つ。血清の主要な測定されない陰イオンはアルブミンである。よって血清アルブミンは必ず測定し、血清アニオンギャップを計算し、解析する場合には、アルブミン値を考慮に入れるべきである。

 と言うことです。人間の身体の中の電荷は中性になっているそうです。よって以下の式が成り立ちます。

Na+UC(測定されない陽イオン)=CL+HCO3+UA(測定されない陰イオン)

 AGの式にすると

AG=Naー(CL+HCO3)=UAーUC

 UAが減るか、UCが増えるかするとAGは低下します。アルブミンはUAなので、UAが減ればAGが減少するというわけです。また、アルブミンはたぶんpHが7.4に近いところにあるとHイオンを放出(するから陰性の電荷を持つのでしょう)するそうです。そのような物質は定義から酸です。低アルブミン血症では代謝性アルカローシスになることも分かります。

 UAが減ったらUCも一緒に減らないのか?減ればAGは変わらないじゃないかと言われるとそうなのです。しかし、何故UCが一緒に減らないのか、、、、、、今のところ分かりません。

 今分かることは、NaやCLは強イオンと呼ばれていて、水溶液中では必ずイオンに分離するそうです。よってNaなんとかとか、何とかCLになって電荷が減るということはありません。また急に外に出すことも難しいでしょうから、NaとCLはAlbの変化によって直接すぐ変化することはないのでしょう。

 HCO3は容易にイオンになったりHとくっついて二酸化炭素と水になったりします。よってUAが低下するとHCO3がその分増えて電気的中立を保とうとします。よってUAが減るとHCO3が増えて代謝性アルカローシスになります。

 昨日の若い先生に向けて。「アルブミンが減るとUAが減るからAGが減るのです!」と分かったような顔をして答えましょう、、、、、、知らんけど。

2020年6月16日火曜日

AGをAlbで補正するなんて聞いたことなかったぞ!

 アニオンギャップをアルブミン値で補正するのは、ほぼ常識になりつつありますが、そんなこと知らなかったぞ!と言う人もおられると思います。私もそうです。いつ知ったのか覚えていませんが、5年ぐらいしかたっていません。

 研修医の頃血液ガスについて勉強したし、その後もそれなりに勉強したけどな〜なんて思っていましたが、なんとこちらの論文によれば15年ほど前から言われ始めたのだそうです(論文が出たのが2018年で13年前からと書かれています)。原文は「Surprisingly, it is only within the last 13 years that a correction factor has been developed that can be introduced into clinical practice.」です。日本語にすれば「驚くべき事に補正係数が示され、それが実際の診療に紹介されてから13年程度しか経っていない」という感じです。

 また同じ文献には、有名なテキストでアニオンギャップがどう書かれているかについての表が載っており、何とセシル内科学第24版にはアニオンギャップをアルブミンで補正する記載がまったくないとのことです。こちらによればセシル内科学の原著は2020年に第26版が出ているそうです。Albの補正が書かれているか読んでみたいですが、、、、、、28699円とのことです。病院で買ってもらおう、、、、、、、

 以下の本は研修医の時に第一版を読んで、その後第二版が出たと言うことで原著を買って良く読んだ記憶があるのですが、なんと、P.128にアルブミンが低下するとAGが低下すると書かれています。補正をしなさいとは書かれていませんが、しっかり読んだはずなのに、、、、、、英語だったから仕方がないと言うことにしておきましょう。第二版で出版が止まっているのが残念です。第二版の原著は1999年に出版されています。



 よって、「先生Alb補正するのは常識ですよ!そんなことも知らないんですか?」と若い先生に馬鹿にされたら以下のように対応しましょう。

 「アルブミン補正なんて、俺が研修医の頃はなかったぞ!少なくとも2005年までは、俺は血液ガスについて最新の知識を得ていたが、そんなのは載っていなかった!最近言われ始めたんじゃないのか?」と答える。

 「俺はセシル内科学を読破したけれど、そんなこと書いてなかったぞ!えっ!今は26版なんだ、、、、、、俺は24版を読んだんだけどな。」と答える。

 「そうなんだ、アルブミンで補正するなんて知らなかったよ〜。君はよく勉強しているね。ところで、何でアルブミンが低いとAGが低くなるんだ?」と答える。

 最後の様に言われた若い先生向けの記事を明日アップする予定です。

2020年6月14日日曜日

アニオンギャップの計算にKを入れるべきか?

 血液ガス分析をするにあたって、アニオンギャップ(Anion gap;以下AG)は大切な項目です。AGが増えている時は酸が増えている事が分かるからです。AGが増えていない代謝性アシドーシスがあれば、HCO3が減った為にアシドーシスになっていると分かります。

 ご存じの通り計算式は以下の通りです。

AG=Naー(CL+HCO3

 しかし、本によっては、以下のようにKが入っています。

AG=Na+Kー(CL+HCO3

 カリウムを入れるべきか否か?について色々調べてみたのですが、これだ!というのは見つかりませんでした。例えば日本救急医学会の用語集には、K、Ca、Mgイオンの総和は約11mEq/Lでありほぼ一定なので、これらは測定できない陽イオンとして考えて良いとあります。分かったような、分からないような、、、、、

 困った時にはUpToDateです。「Serum anion gap in conditions other than metabolic acidosis」という文献にこれだ!と言う物がありました。日本語にすれば、「代謝性アシドーシス以外における血清アニオンギャップについて」と言う資料です。

 この中には、アメリカではKを含まない式を使うが、ヨーロッパではKを入れる国が多いと書かれています。何故ヨーロッパではAGの計算式にKを入れるのか?については書かれていませんでした。こちらの文献には
「As originally conceived, serum K+ was also included in the calculation, but serum K+ is included in none of the major textbooks published in the United States and only in a minority of manuscripts. 」と書かれています。日本語にすれば、「オリジナル文献には、血清カリウムイオンもAGの計算に含められていたが、アメリカで出版されている主要な教科書には載っておらず、個人的な資料の一部に書かれているのみである」という感じなのでしょうか。最初に考えた人がKを入れたんだけど、アメリカでは賛成する人があまりいなかったと言うことなのでしょうか。心肺蘇生のやり方とか、虫垂炎の保存的治療とか、欧米の対決が時々見られて面白いですね。

 また、アメリカではカリウムは測定できない陽イオンと考えられているとUpToDateには書かれています。

 こちらの文献には、KはNaに比べて低値であり、その変化はAGに大きな影響を与えないと書かれています。またカルシウムやマグネシウムに関しては、異常があっても実際にはAGに影響はほとんどなかったと書かれており、AGはNaとCL、HCO3の3つだけで計算すれば良いと言うことになります。

 簡単で良かった!

 当院の検査室とICU、救急外来
にある器械はSiemensと言う会社のもので、AGの計算にKが含まれています。ドイツに本社がある会社のようでした。なるほど。

 私は自分で血清の電解質を使って計算していますので、自動的に出てくるAGは見ていません。

2020年6月13日土曜日

貴方は血液ガスに自信がありますか?

 この論文ずっと探していました!!昔読んだ本に書いてあったのですが、その本を紛失してしまい、どうやったら検索できるかと思っていました。が、ネット記事に引用されていたのを見つけました。

Hingston DM, Irwin RS, Pratter MP, Dalen JE: A Computerized Interpretation of Arterial pH and Blood Gas Data: Do Physicians Need It? Respiratory Care 1982;27(7): 809-815.

 学生や医師(ある程度のベテランも含む)に血液ガスの講義をし、コンピューターによる血液ガス解析プログラムの話をたところ、61%は血液ガスデータ分析の基礎知識はあると答え、71%はコンピュータによる血液ガスデータ分析は不要であると返答したそうです。しかし、血液ガスデータ分析クイズをしたところ、正答率はわずか39%に過ぎなかったというものです。

 つまり血液ガス分析は理解するのが困難だと言うことです。よって血液ガスを勉強する時に大切なことは、分からなくても良いんだと言う気持ちでやることです。どうしよう!?全然分からないと言っていると、全く分からないままです。少しで良いから分かれば良いと思います!

 私は基礎知識があり、ちゃんとクイズに正解できると言える自信はありません、、、、、、でも、そうなるように日々勉強しています。

2020年6月12日金曜日

Tic-Tac-Toeによる血液ガス分析のやり方

 動画の紹介です。

 Tic-Tac-Toe法というものです。普段から血液ガスの解釈をしている方は当然のことでこんなカード使わなくてもと思うかもしれませんが、初学者の人には良いと思います。

 以下の動画を是非ご覧ください。もちろんですが、日本語音声です。



 こちらには文字で解説がありますが、英語なのでGoogle chromeで翻訳して頂けば良いかなと思います。

2020年6月10日水曜日

血液ガスの採血をしたら40秒以上撹拌しましょう。

 血液ガス検査は緊急を要する時もありますので、救急外来や集中治療室、手術室などで検査をしていることがあると思います。私が勤める病院でもその三カ所に血液ガス分析の器械があります。

 検査器械のメンテナンスは、検査技師さんなど知識のある方がしていただくことが望ましいです。誰もメンテナンスをしていないと検査結果は正しく得られないばかりか、器械が壊れてしまうかも知れません。

 さて、血液ガスの検査器械に注射器を差し込む前にどのぐらい注射器をぐるぐるしていますか???

 アメリカの Clinical and Laboratory Standards Institute(臨床・検査標準協会, CLSI)ガイドラインには、検査器械にかける前に1分以上撹拌しましょうと書かれているようです(ネットで見ようとしたら結構な額のお金が必要のようでした)。

 実際に1分ぐらい撹拌している人はどのぐらいいるでしょうか?

 こちらの文献によれば、最低40秒撹拌しなければならないようです。貧血がある患者さんでは特に長くしなければならないようです。

 正しい値を得て、患者さんに良いデータを提供できるように、きちんと撹拌しましょう。私は採血したら直ぐ自分で撹拌しながら看護師さんに渡しています。

2020年6月8日月曜日

HCO3は計算値?

 血液ガス分析のデータを見ると色々な値が載っています。最近の物は乳酸だけでなく、電解質やヘモグロビンまで載っています。他の検査がなくても血液ガス分析だけでもかなりの診断が出来そうです。

 救急科専門医の筆記試験に出題されていますが、実際に測定している項目はどれか知っていますか?

平成16年度実施救急科専門医・認定医筆記試験問題
問題10 血液ガス分析装置で計算値として表示するのはどれか。
(a)PO2
(b)PCO2
(c)pH
(d)HCO3-

(e)Hb

 この問題の答えは(d)です。pH=6.1+log([HCO3]/0.03×PCO2)なので、

[HCO3]=0.03×PCO2×10^(pH-6.1)と言う計算になります。

 しかし、アメリカなどでは血液生化学検査の項目にHCO3(正確にはtCO2)があり、血液ガスをとらないこともよくあるようです。論文(参考文献)によれば、血液ガスのHCO3(pHとPCO2から計算した値)と生化学検査で得られたtCO2はほぼ同じだという事です。日本でも血液生化学検査でtCO2(ほぼHCO3と同じ)を測定している病院があるのですね。

 普通に臨床をしているだけならあまり関係ありませんが、英語の論文を読んだり、別の病院(血液生化学でtCO2を測定している病院)の先生や外国の人と血液ガス分析についてディスカッションする場合には、血液ガスをしなくてもHCO3が出せることを知っておきましょう。

参考文献
 楠木 啓史ら:生化学分析装置における血清重炭酸塩(総 CO2)の 測定. 医学検査 Vol.67 No.1 2018

2020年6月7日日曜日

高血糖の時AGのNaは補正すべきなのか?

 以下の本に血液ガスの項目があります。



 糖尿病性ケトアシドーシスの患者さんの症例が載っていて、AGが上昇していると書かれています。本文中にAGの計算値やAGが上昇していると言う理由が述べられていません。アルブミンは書かれていませんでした。AGが上昇する一般的な解説は載っていてとても勉強になるのですが、この症例のAG上昇についての記載がないのです。

 Na123、CL98、HCO3 12.5とあり、自分で計算してみたらAGは12.5となり、上昇していません。Albの値も記載がありませんし、困ってしまったので出版社にメールをしてみました。著者の先生とはFBでお友達にさせていただいているので、直接聞いても良かったのですが、出版社を通した方が何か良いことがあるのではないかと思って(私にではなく著者の先生にですよ)出版社にメールをしてみました。何とその日のうちに著者の先生の返事が来ました(出版社を通じて)。対応が早い!!

 そのお返事には、高血糖(血糖590)の症例なので、Naの補正が必要だと書かれていました。Naを補正するとNa+1.6mEq×(血糖100mg/dL上昇あたり)=130.84となり、AGは20.34で上昇しているという計算になりますとのことでした。

 高血糖の場合に補正したNaを使うなんて聞いたことがなくて勉強になったと思い、どこかにその記載はないかと調べたところ、例えばUpToDateやいくつかのサイト(こちらこちら)には、そのままのNaを使うべきだと書かれていました。著者の先生からはカンファレンスで補正すると言う意見を聞いたことがあり、補正をするものだと思っていたとメッセージを戴き、資料も戴きました。次の版(卒後20年目総合内科医ぐらいでしょうか)で訂正しますとお返事戴きました。ありがとうございます!
 Letters to the editorに補正すべきではないと言う記載をしている文献もあり、補正する人が多かった(今も?)のでしょうか。

 少し解説すると、高タンパク血症や高脂血症の場合には、偽性低Na血症といって、ナトリウムが低く出るのですが、本当の血清中のNa値は正常です。よって、血液ガスでAGを出す場合には補正が必要です。

 しかし、高血糖の場合には、糖は電荷を持たないそうですので血糖を考慮に入れる必要はありません。また、血糖が高くなると細胞外液の浸透圧が上昇し、細胞内から水が引っ張られるので、Naだけでなく、CLやHCO3も低下します。例えば、上記の例のように、血糖が590だったとすると、Naは1.6×4.9=7.84低下するとされています。130.84が123に低下したとすると、AGは12.5だったものが11.75になります(ClもHCO3も同じ比率で低下しますから、12.5×123÷130.84です)。ほとんど差はありません。高血糖の場合には、Naは本当にその値に下がっているので、AGは電荷の平衡から考えられているので、補正をするなら全ての電解質を補正しなければならないはずです。

 よって、高血糖の患者さんでAGを計算する場合、Naを血糖で補正する必要はありません。良かった!

2020年6月4日木曜日

血液ガスがなくても想像できるように

 今日は本の紹介です。血液ガスマイスターを目指して色々勉強しています。

 世界でいちばん血液ガスが分かる本とのことで購入しました。血液ガスを一般の人にも教えているという著者の先生の本です。ええっ!?一般の人に教える必要があるの?と思いましたが、それについては書かれていませんでした。が、一般の人でも15分あれば何とか性○○○ーシスと診断できるとのことです。確かにそうかも知れないと思いました。


 この本が良いなと思ったことは、看護師さんも読者の対象としているためか、検査をケアに活かすと言う視点が貫かれていることです。血液ガスを勉強しよう!と思うと、どうしても○○性○○ーシスと診断して満足してしまいがちですが、それは手段の一つであって、目的ではないという事があちこちに書かれています。
 一番良いなと思ったのは、血液ガスが測定されていない時に、血液ガスの知識を活かそうと言うところで、例えば呼吸が早い人がいたら呼吸性アルカローシスがあるわけですが、そう言う人は呼吸性アルカローシス以外に、代謝性アシドーシスがある可能性もあるということが、血液ガスを勉強すれば分かると言うことです。

 あと代償性変化の説明を砂で説明されているのが確かに世界一分かりやすいと思いました(^^)。

 血液ガスを勉強するための最初の本としてお勧めです。2000円で安いのもポイントです。血液ガスをマスターしたという方も、後輩に伝える時の参考になると思います。是非ご購入を!

2020年6月3日水曜日

pHは何の略?

 pH(ピーエッチと読みます)と書いてペーハーと読む(ドイツ語でしょうか)のは年寄りの証拠だというのを以前書きましたが、そう知っていてもついついペーハーと言ってしまう私です。

 今まで考えたこともありませんでしたが、pHって何でpHなんでしょうか??

 なんとpower of hydrogenと言う意味なのだそうです。水素の力、何と良い言葉でしょう。以下の本に書かれていました。

 と思ったらpowerは数学の何乗という意味なんだそうです。pH7は10のマイナス7乗という意味なのだそうです。こちらのブログなどをご覧ください。


 この本は徳田安春先生の名前にひかれて購入しました。

 最初に血液ガスの解説が70ページぐらいあって、残りの70ページは問題とその解答が載っています。訳本なのですが、訳本にありがちな変な日本語(著作権?の問題からなかなか難しいらしいですが)ではなく、最初から日本語で書かれたかのような読みやすい本です。イラストもカラフルで、文字は日本語になっています。

 症例問題は、最初の方は病歴からも診断がつけられるような簡単な問題で、解釈は容易です。だんだん難しくなってpHやPCO2、乳酸などの値がエラーで測れず、NaとClだけで診断すると言う問題もあります。私は知っていたので超簡単でしたが。気になった方は是非ご購入を!

 この本から入って、興味を持ったら別の本という感じで入門書として読んでも良いのではないかと思いました。

 出版社のサイトに登録すれば、パソコンやiPadでも読むことが出来ます。電子版は便利ですが、やはり書籍も欲しいという人には良い本です。一冊分の値段で書籍と電子書籍の両方手に入り、パソコン(Macにも対応)でも読めます。素晴らしすぎます!値段は3800円と少し高めではありますが、電子版もついてくると考えれば安いのではないかと思いました。ただ、日本人の先生が書いた2000円ぐらいの本もあるので、、、、、、

 この本を買うべき理由は、症例問題でしょうね。30例載っています。なんと日本語版オリジナルの問題が6問追加になっています。日本人で良かった!