2021年9月10日金曜日

ASTとALTの関係

  ASTとALTはほぼ毎日測定される検査だと思います。私のような年寄りにとってはGOT、GPTの方がなじみがあります。最近やっとGOTはAST、GPTはALTだとすらすら言えるようになりました。


 さて、私が学生の時に、大学の病院実習で内科研修医の先生が、「私はGPT>GOTだったら正常範囲内だったとしても肝炎などを疑っています。過剰診療かも知れないけど。」と言っていたのを覚えています。そんなものかなあ?位にしか思っていませんでしたが、超優秀な先輩だったんだなと思います。以下に理由を述べます。


 ASTもALTも全身の細胞に多く含まれる酵素です。しかし、破壊される細胞の量などから、一般的には肝臓、筋肉、血液などの破壊を疑います。そして、ほぼ全ての細胞でASTの方が圧倒的に多く含まれています。よって細胞が破壊された、あるいは大量に破壊され続けている場合には、AST>ALTとなります。異常がない場合にもAST>ALTです。

 ASTの半減期は半日程度、ALTは2日程度とALTの方が半減期が長いそうです。よって、細胞破壊が終わった、あるいは破壊が軽度になった場合は、AST<ALTとなります。門脈、胆管周囲(門脈と胆管はほぼ同じ所を走行しています)の肝細胞にはALTが多く含まれているそうで、それらを破壊する病気(慢性肝炎、胆道疾患)では急性期でもALTが多くなります。


 さあ、今日から肝機能を見る時は、ああ、AST>ALTになっているなと思ってみましょう。もし、AST<ALTだったらあれ?と思えるように!

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