2017年10月30日月曜日

発熱で来院された患者さん

 89歳の女性です。発熱で施設から紹介されてきました。

 見た目は元気そうで、意識レベルも普段と変わりないそうです。

 39度の発熱がありましたが、他のバイタルサインは特に問題ありませんでした。呼吸数は何と!測られていませんでした(研修医の先生にはちゃんと呼吸数をチェックするように伝えているのですが(T_T))。

 血液ガスデータは以下の通りです。この段階で行うべき介入は何でしょうか?

(酸素投与なし)
pH  7.507
PCO2  22.1 mmHg
PO2   69.7 mmHg
HCO3  17.1 mmol/L
BE   -5.1 mmol/L
Lactate  2.69 mmol/L

 少しずつ紹介していくので、今日は酸素についてだけ見てください。PO2(正確にはPaO2)は69.7 mmHgとまあまあな値です。70 mmHgあれば良いと覚えてください。
よって、緊急介入は必要なく、落ち着いてゆっくりと熱の原因検索を行っていけば良いでしょうか?

 違いますね。この人の呼吸数は30/分もありました。PCO2(こちらも正確にはPaCO2)も低いです。CO2とO2は酸素を奪い合っているので、PaCO2が減れば、PaO2は増えるはずです。なのにPaO2が正常値と言うことは、酸素を正常値に保つために一生懸命換気をしてPaCO2を下げている状態だと言うことです。

 よって、まず行うべきは酸素投与です。どのぐらい流したら良いかは色々です(少しずつ紹介していきます)。今回はマスクで4L/分流してみました。迷ったらもっと大量投与でも問題ありません。短時間の高酸素血症は問題ありませんから。

 酸素化能の程度を見る指標とか、色々あるのですが、それは次回に。

 今回の患者さんは、肺炎で低酸素になったために二酸化炭素を下げて酸素を少しでも正常に保とうとしていました。呼吸数が早くなっていました。

 ちなみに、血液ガスをとらなくたって、呼吸数が早いという所見だけで酸素投与をして良いです。このブログで述べていきますが、検査は患者さんのデータの一つであり、全てではありません。心電図の本にも似たことが書いてありました。心電図で患者さんの事が全て分かるわけではないから、身体所見とか病歴も大事にしましょう!と。

<今回の極論ポイント>
・呼吸数が早い人には酸素投与をしましょう!
・血液ガスなんかなくたって、患者さんの治療は出来る!

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