2018年1月10日水曜日

肺気腫の患者さん

 今年になってから全然更新していませんでした。すみません。

 さて、肺気腫の患者さんが発熱で来院されました。80歳の女性で、在宅酸素療法をしている方で、酸素を1.25リットル流しています。救急隊の方が4リットル投与で搬送してきました。落ち着いていたので酸素2リットル投与に減量しての血液ガスデータです。

 体温は38度、呼吸数は20/分、SpO2は94%でした。肺炎でしょうか?

pH 7.311
PCO2 81.6 mmHg
PO2 78.0 mmHg
HCO3 40.3 mmol/L
BE 11.6 mmol/L
AnionGap 11.5 mmol/L
乳酸 1.09 mmol/L

 まず最初に酸素の値を見ます。PaO2はまあ70 mmHg以上あれば、取りあえず良いのでしたね。よって、この人の酸素分圧は大丈夫です。
 次に酸素化能障害を診ます。AaDO2を計算すると、だいたい20 mmHgです。年齢の0.3以下という基準をとってみても、酸素化能障害はありません。咳もありませんので、肺炎ではないと考えました。CTも撮りましたが、異常はありませんでした。

 次はpHですね。7.4より低いので、アシドーシスがあります。
 PaCO2が上昇していますので、アシドーシスの原因は呼吸性のようです。
 呼吸性アシドーシスが急性に来たとすると、pHは7.06ぐらいになります(PaCO2が1上昇するとpHは0.008下がります)。pHはそれよりもかなり高く、代謝による代償がされていると思われ、慢性のCO2貯留があったのだと考えられます。慌てて気管挿管とか考えなくて良かったです。

 この方は尿路感染症でした。それにしても、PaCO2が80 mmHg以上あるのに、平気な人がいるのですね!

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