2018年3月1日木曜日

緊張性気胸の患者さん

 78歳の男性で、慢性閉塞性肺疾患で通院中です。呼吸困難があり、SpO2が低下していると言うことで救急搬送されました。現場では酸素10L/分流しても、SpO2が75%だったそうです。

 大きなことは言えませんが、高流量かつ高濃度の酸素を投与してもSpO2が上昇してこなければ、やはりバッグバルブマスク換気でしょう!なのに、、、、、、、、、、ここでは書きません。

 来院時の血液ガスです。バックバルブマスク換気を始めて直ぐぐらいの採血です。

pH 7.087
PCO2 92.4 mmHg
PO2 84.8 mmHg
HCO3 27.2 mol/L
BE −4.7 mol/L
乳酸 2.56 mol/L

 PaCO2が高いですよね。急激に意識が悪くなったとのことでしたので、有名なCO2ナルコーシスになったのかも知れません。この人の初期対応としては、酸素をやってはいけないということではなく、酸素投与にもかかわらずSpO2が低かったのですから、もう限界と言うことで換気を助けてあげれば良かったのです。酸素を投与したために、気管挿管が必要になるとか、そういう事はありません。低酸素であれば、酸素投与をし、それでもダメなら換気をしましょう!COPDがあるような人では、SpO2が90%ぐらいあれば良いでしょうが。

 この方は気管挿管され、一回換気量400mlぐらいを送るとピーク圧ーPEEPが25mmHgぐらいになっていました。25mmHgは1.36をかけて34cmH2Oなので、動的コンプライアンスは400ml÷34cmH2O=11.8ml/cmH2Oです。正常値は50〜100ml/cmH2Oなので、かなり肺が膨らみにくい状態ですね。

 レントゲンを撮ったら気胸でした!直ちに脱気をしました。するとピーク圧が5mmHgぐらいに低下しました。すごい変化ですね。動的コンプライアンスは、400÷5÷1.36=58.8ml/cmH2Oと正常になりました!すごい変化ですね!!

 その後あまりに元気になったので抜管してから血液ガスをとりました。酸素を経鼻で2リットル/分投与しています。

pH 7.368
PCO2 43.2 mmHg
PO2 72.7 mmHg
HCO3 24.3 mol/L
BE −1.1 mol/L
乳酸 1.76 mol/L

 A-aDO2が72.94 mmHgと酸素化能障害はありますが、酸塩基平衡は問題ありません。代償性変化がないので、急性の呼吸性アシドーシスだったのだと思われます。

<今回のポイント>
 酸素は大事です!
 おかしいなと思ったらCOPDの人でも酸素投与をしましょう。
 それでもSpO2が上がらなければバックバルブマスク換気をしましょう!

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