2021年4月19日月曜日

吸気の二酸化炭素が増えたら肺胞気式は使えない(たぶん)

  最近消火のための二酸化炭素が放出される設備が誤作動して作業員の方が亡くなるという事故が起こっています。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。


 ニュースでは低酸素のために亡くなったと書かれています。20%のガスが二酸化炭素に置き換わったとのことです。たぶん、急激な低酸素ではなく、血液中の二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇し、意識レベルが低下し、呼吸が止まってしまい低酸素になったのでしょう。


 20%のガスが二酸化炭素になった場合、残り80%の20%が酸素です。よって吸入酸素濃度は16%です。PAO2を計算すると、PIO2=(760−47)×0.16で114Torr、PaO2=PIO2−PaCO2÷0.8となりますので、(PaCO2は取りあえず40Torrとして計算)PAO2=64Torr程度となります。20%のガスが二酸化炭素に置き換わったとしても、それだけでは死亡するほどの低酸素にはならないことが分かります。例えば、高いところを飛んでいる飛行機の機内の気圧は地上の0.8倍程度になっており、PAO2はほぼ同じ位になっています。が、飛行機に乗っただけで死亡する人はいません。


 さて、PaCO2÷0.8と言う数字はどう言う意味か覚えていますか?前回の記事でご紹介しましたが、消費される酸素の量が測定できないので、二酸化炭素から予想するのでした。二酸化炭素が8出てきたら、酸素は10使われていると予想されるのです。しかし、これは空気中の二酸化炭素がほぼゼロ(PICO2=0Torr)と言う場合の式でした。


 ここまで書いておいてなんですが、じゃあPICO2が0.2になった時、どうやってPAO2を計算したら良いのか(肺胞気二酸化炭素分圧からは計算できないと思われます)については今のところ分かりませんでした。どなたか分かる方がおられたら教えてください。PaCO2が142Torr程度まで(713×0.2)あるいは+40で180Torr程度まで上がるのでしょうか?そしてなおさら肺胞気式は使えませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿