以前の記事で、採血後に検査まで時間がかかる場合には、検体を冷やした方が良いと書いたのですが、知りませんでした。冷やしてはいけないと書いているサイトがあります。だから早く検査をするしかないです。あるいはガラスの注射器(あるのか?)で採血するとか。
冷やしてはいけない理由は、こちらの業者さんのリンクに書かれています。
簡単に説明すると以下の通り。
・プラスチックの注射器は空気を通します。
・温度が下がるとヘモグロビン(Hb)の酸素解離曲線は左に移動します。つまりHbが酸素と結合しやすくなります。
・検体を冷やすと血液の液体中の酸素はHbにくっついて量が減ります。
・空気のPO2は160Torr前後です(760×0.21=159.6)。これは通常のPaO2より高いです。
・よって、シリンジのプラスチックを酸素が通り抜けて血液の液体中に移動します。
・検査をしようと検体の温度を上げる(通常37度で測定します)とHbの酸素解離曲線は右に移動します。つまりHbが酸素を放出します。
・すると血液の液体中の酸素の量が増えます。気体の状態方程式(PV=nRT)から考えると、気体の分子の数nが増えると他が同じであれば、圧力Pは増えます。
・よって患者さんの体内のPaO2より高い値を示してしまう可能性があると言うことです。
白血病などで白血球が異常に増えている場合には、冷やしても良いですが、PaO2の評価は難しいようです。SpO2等で代用するしかないですね。まあ、どれほど違いが出るのか分かりませんが、本来は60なのに100を示すというようなことはないでしょうから、気にしなくても良いのかも知れません。
天下のUpToDateには冷やすべきだと書かれています。Arterial Blood gasesと言う文献です。
Gas diffusion through the plastic syringe and consumption of oxygen by leukocytes is a potential source of error that results in a falsely low PaO2 when the sample is left for prolonged periods at room temperature. However, the clinical significance of this error is minimal if the sample is placed on ice and analyzed within 15 minutes [17-20]. While using a glass syringe will prevent gas diffusion, this solution is impractical.
プラスチックの注射器のガスの拡散や白血球による酸素の消費は測定エラーの原因となり得る。室温に長時間放置された検体では低いPO2を示してしまう。しかし、検体を氷で冷やして採血から15分以内に検査をすれば、この測定エラーは臨床的に無視できるほど小さい。ガラスの注射器を使えば、ガスの拡散は予防できるが、実践的ではない。
どうしたら良いか迷ってしまいますが、早く検査するしかないってことですね。
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