2021年10月2日土曜日

Base Exessを用いた血液ガスの解釈法

  昨日の続きです。BEを用いた血液ガスの解釈は比較的簡単であり、行っても良いかも知れません。私はマニアなので今日から、通常の生理学的アプローチとStewart法、そしてBEによる方法の3つで血液ガスを解釈することにしました。


 ちなみに、計算はStewart法が最も簡単です。Na-CLとSID(強イオン差、strong ion difference)=HCO3+2.8×Alb+0.6×P、SIDギャップ=Na-CL-SID、PCO2=HCO3+15の4つを計算するだけです。アルブミンとリンはそれぞれ低ければ代謝性アルカローシス、高ければ代謝性アシドーシスと診断できます。


 New England Journal of Medicineの2018年378巻、P.1419−1428の文献を参考にしました。以下は私の作った適当なやり方ですので、詳細は文献をご覧ください。


(1)pHが7.4より高いか低いかを見る

(2)PCO2とstandard BE(以下BE)により一次性変化を決める

 代謝性アシドーシス pH<7.4でBE<-2

 代謝性アルカローシス pH>7.4でBE>2

 呼吸性アシドーシス pH<7.4でPCO2>42

 呼吸性アルカローシス pH>7.4でPCO2<38

(3)代償性変化を予想する。以下を超えていたら代償ではない変化があると考える。

 代謝性アシドーシス ΔPCO2=BE

 代謝性アルカローシス ΔPCO2=0.6×BE

 呼吸性 急性 -2<BE<2

     慢性 BE=0.4×(PCO2−40)

(4)補正アニオンギャップを計算する。

 AG=Na−HCO3−CL+2.5×(4−Alb)

(5)AGが上昇していれば、以下を計算

a. Δ−Δを計算

ΔAG=AG−12

ΔHCO3=HCO3−24

Δ−Δ=ΔAG−ΔHCO3(乳酸アシドーシスの場合には0.6をかける)

Δ−Δ>5 AG非開大性代謝性アシドーシスあり

−5<Δ−Δ<5 AG開大性代謝性アシドーシスのみ

Δ−Δ<−5 代謝性アシドーシスあり

b. 浸透圧ギャップを計算

予想浸透圧=2×Na+血糖÷18+BUN÷2.8

浸透圧ギャップ=血清浸透圧−予想浸透圧

浸透圧ギャップが10以上あれば、薬物中毒などが疑われる。


(5)は面倒なのでやらないことにすれば、結構簡単です。予想式が3つしかありませんので覚えやすいと思います。

 ちなみにΔ−Δは批判も多いようで、ΔAG/ΔHCO3の方が良い(0.8以下はAG非上昇型代謝性アシドーシス、1.2以上は代謝性アルカローシス)という意見もあります。

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