昨日の続きです。BEを用いた血液ガスの解釈は比較的簡単であり、行っても良いかも知れません。私はマニアなので今日から、通常の生理学的アプローチとStewart法、そしてBEによる方法の3つで血液ガスを解釈することにしました。
ちなみに、計算はStewart法が最も簡単です。Na-CLとSID(強イオン差、strong ion difference)=HCO3+2.8×Alb+0.6×P、SIDギャップ=Na-CL-SID、PCO2=HCO3+15の4つを計算するだけです。アルブミンとリンはそれぞれ低ければ代謝性アルカローシス、高ければ代謝性アシドーシスと診断できます。
New England Journal of Medicineの2018年378巻、P.1419−1428の文献を参考にしました。以下は私の作った適当なやり方ですので、詳細は文献をご覧ください。
(1)pHが7.4より高いか低いかを見る
(2)PCO2とstandard BE(以下BE)により一次性変化を決める
代謝性アシドーシス pH<7.4でBE<-2
代謝性アルカローシス pH>7.4でBE>2
呼吸性アシドーシス pH<7.4でPCO2>42
呼吸性アルカローシス pH>7.4でPCO2<38
(3)代償性変化を予想する。以下を超えていたら代償ではない変化があると考える。
代謝性アシドーシス ΔPCO2=BE
代謝性アルカローシス ΔPCO2=0.6×BE
呼吸性 急性 -2<BE<2
慢性 BE=0.4×(PCO2−40)
(4)補正アニオンギャップを計算する。
AG=Na−HCO3−CL+2.5×(4−Alb)
(5)AGが上昇していれば、以下を計算
a. Δ−Δを計算
ΔAG=AG−12
ΔHCO3=HCO3−24
Δ−Δ=ΔAG−ΔHCO3(乳酸アシドーシスの場合には0.6をかける)
Δ−Δ>5 AG非開大性代謝性アシドーシスあり
−5<Δ−Δ<5 AG開大性代謝性アシドーシスのみ
Δ−Δ<−5 代謝性アシドーシスあり
b. 浸透圧ギャップを計算
予想浸透圧=2×Na+血糖÷18+BUN÷2.8
浸透圧ギャップ=血清浸透圧−予想浸透圧
浸透圧ギャップが10以上あれば、薬物中毒などが疑われる。
(5)は面倒なのでやらないことにすれば、結構簡単です。予想式が3つしかありませんので覚えやすいと思います。
ちなみにΔ−Δは批判も多いようで、ΔAG/ΔHCO3の方が良い(0.8以下はAG非上昇型代謝性アシドーシス、1.2以上は代謝性アルカローシス)という意見もあります。
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