最近は血液ガスもとりあえず静脈血でと言うのが定着しているのでしょうか。私が勤める病院では静脈血の血液ガスが頻繁に採血されていて、私も良く行っています。
今日は静脈血のデータはあてになるのか?についての考察です。
先日経験した患者さんのデータです。
静脈血 動脈血(1時間後の採血ですが)
pH 7.288 7.406
PCO2 61.7 39.4
PO2 25.2 85.3
HCO3 28.9 24.2
Lactate 2.89 1.20
まず酸素はあてにならないと言うのは皆さんご存じでしょう。A-aDO2もあてにならないと言う意見がありますから、酸素をチェックしたいのであれば、SpO2で良いのかも知れませんね。
UpToDate "Venous blood gases and other alternatives to arterial blood gases"(静脈血液ガスとその他動脈血液ガスの代わりになる指標)によれば、pHは0.02から0.04程度静脈血の方が低く、PCO2は静脈血の方が3-8 Torr程度高いとのことです。しかし、今回の症例の場合、採血時間が違いすぎるのですが、かなりデータが異なりますね。静脈血では呼吸性アシドーシスと診断されますが、動脈血はほぼ正常です。
研修医の先生に、静脈血液ガスデータが悪いのですがと相談されて、患者さんは呼吸状態に問題はなく、まあ、次回こう言う人がいたら動脈で取り直した方がいいかもねと伝えたら、先生動脈血液ガスのデータは正常でした!と言われた(熱心な先生ですね)のでした。
基本的には、静脈血では、pHとHCO3はわりとあてになるが、PCO2は評価できないと言われています。が、外国では通常の生化学でHCO3を測定している事に注意が必要です。日本の多くの施設でのHCO3は直接測定しているのではなく、pHとPCO2から計算して出されているので、日本ではHCO3もあてにならないかも知れません。
こちらの資料も勉強になるので、是非ご覧ください。こちらの資料を参考に、どうすれば良いかを最後に書いておきます。
・静脈血液ガスのデータが正常であれば、たぶん動脈血も正常であり、採血し直さなくて良い。
・静脈血液ガスデータに異常があれば、動脈血を取り直した方が良い。
・患者さんの状態を先に判断して、血液ガスに異常がありそうであれば、動脈血採血を行った方が良い。
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