血液ガスのデータは色々な略号で記載されています。今回はこれについて学びましょう。
最初の英語はどのようなデータかということで、これは大文字で書きます。
P Pressure 分圧
S Saturation 飽和度
C Content 含有量
他にもあるかも知れませんが、取りあえず三つだけ。つまり、酸素に関して言えば、PaO2とSaO2とCaO2があると言うことです。これらの区別はまた勉強しましょう。
次の英語は、どの部位のデータかと言うことで、小さい字で書きます。大文字のこともあるので、小さい字という表現になります。大文字は気体、小文字は液体のようです。
a artery 動脈血
A alveolar 肺胞
v vein 静脈血
P percutaneous 経皮的に(パルスオキシメーターによって)測定した動脈血(が多いと思います)このPを大文字にすべきか、小文字のpにすべきかについては今調査中です。
他にも色々ありますが今回は必要ないので省略します。静脈血のvは小文字だとは知りませんでした(T_T)。
次の文字は、測定した気体の種類です。
O2 酸素
CO2 二酸化炭素
窒素などもあるのでしょうが、この二つ以外あまり出てきませんね。
よって、SPO2とかpO2とかは、この基準に従えば誤りだと言うことになります。
よく出てくるデータは以下のようになります。
PaO2 動脈血酸素分圧
PaCO2 動脈血二酸化炭素分圧
SaO2 動脈血酸素飽和度
SpO2 経皮的に測定した動脈血酸素飽和度
こちらのブログにも解説していますので、良かったらご覧ください。
血液検査を読みながら色々学べたらと思います。 難しいことは分かりませんから、できるだけ簡単に! よって一つの記事に少しのことしか書かないようにしています。物足りない方はこのブログを読む必要のない知識のある方です。色々教えていただければ幸いです!
2017年10月30日月曜日
発熱で来院された患者さん
89歳の女性です。発熱で施設から紹介されてきました。
見た目は元気そうで、意識レベルも普段と変わりないそうです。
39度の発熱がありましたが、他のバイタルサインは特に問題ありませんでした。呼吸数は何と!測られていませんでした(研修医の先生にはちゃんと呼吸数をチェックするように伝えているのですが(T_T))。
血液ガスデータは以下の通りです。この段階で行うべき介入は何でしょうか?
(酸素投与なし)
pH 7.507
PCO2 22.1 mmHg
PO2 69.7 mmHg
HCO3 17.1 mmol/L
BE -5.1 mmol/L
Lactate 2.69 mmol/L
少しずつ紹介していくので、今日は酸素についてだけ見てください。PO2(正確にはPaO2)は69.7 mmHgとまあまあな値です。70 mmHgあれば良いと覚えてください。
よって、緊急介入は必要なく、落ち着いてゆっくりと熱の原因検索を行っていけば良いでしょうか?
違いますね。この人の呼吸数は30/分もありました。PCO2(こちらも正確にはPaCO2)も低いです。CO2とO2は酸素を奪い合っているので、PaCO2が減れば、PaO2は増えるはずです。なのにPaO2が正常値と言うことは、酸素を正常値に保つために一生懸命換気をしてPaCO2を下げている状態だと言うことです。
よって、まず行うべきは酸素投与です。どのぐらい流したら良いかは色々です(少しずつ紹介していきます)。今回はマスクで4L/分流してみました。迷ったらもっと大量投与でも問題ありません。短時間の高酸素血症は問題ありませんから。
酸素化能の程度を見る指標とか、色々あるのですが、それは次回に。
今回の患者さんは、肺炎で低酸素になったために二酸化炭素を下げて酸素を少しでも正常に保とうとしていました。呼吸数が早くなっていました。
ちなみに、血液ガスをとらなくたって、呼吸数が早いという所見だけで酸素投与をして良いです。このブログで述べていきますが、検査は患者さんのデータの一つであり、全てではありません。心電図の本にも似たことが書いてありました。心電図で患者さんの事が全て分かるわけではないから、身体所見とか病歴も大事にしましょう!と。
<今回の極論ポイント>
・呼吸数が早い人には酸素投与をしましょう!
・血液ガスなんかなくたって、患者さんの治療は出来る!
見た目は元気そうで、意識レベルも普段と変わりないそうです。
39度の発熱がありましたが、他のバイタルサインは特に問題ありませんでした。呼吸数は何と!測られていませんでした(研修医の先生にはちゃんと呼吸数をチェックするように伝えているのですが(T_T))。
血液ガスデータは以下の通りです。この段階で行うべき介入は何でしょうか?
(酸素投与なし)
pH 7.507
PCO2 22.1 mmHg
PO2 69.7 mmHg
HCO3 17.1 mmol/L
BE -5.1 mmol/L
Lactate 2.69 mmol/L
少しずつ紹介していくので、今日は酸素についてだけ見てください。PO2(正確にはPaO2)は69.7 mmHgとまあまあな値です。70 mmHgあれば良いと覚えてください。
よって、緊急介入は必要なく、落ち着いてゆっくりと熱の原因検索を行っていけば良いでしょうか?
違いますね。この人の呼吸数は30/分もありました。PCO2(こちらも正確にはPaCO2)も低いです。CO2とO2は酸素を奪い合っているので、PaCO2が減れば、PaO2は増えるはずです。なのにPaO2が正常値と言うことは、酸素を正常値に保つために一生懸命換気をしてPaCO2を下げている状態だと言うことです。
よって、まず行うべきは酸素投与です。どのぐらい流したら良いかは色々です(少しずつ紹介していきます)。今回はマスクで4L/分流してみました。迷ったらもっと大量投与でも問題ありません。短時間の高酸素血症は問題ありませんから。
酸素化能の程度を見る指標とか、色々あるのですが、それは次回に。
今回の患者さんは、肺炎で低酸素になったために二酸化炭素を下げて酸素を少しでも正常に保とうとしていました。呼吸数が早くなっていました。
ちなみに、血液ガスをとらなくたって、呼吸数が早いという所見だけで酸素投与をして良いです。このブログで述べていきますが、検査は患者さんのデータの一つであり、全てではありません。心電図の本にも似たことが書いてありました。心電図で患者さんの事が全て分かるわけではないから、身体所見とか病歴も大事にしましょう!と。
<今回の極論ポイント>
・呼吸数が早い人には酸素投与をしましょう!
・血液ガスなんかなくたって、患者さんの治療は出来る!
2017年10月29日日曜日
今日から血液ガスの症例をアップします。
このブログは、以前作って以来、ずっと放置していたのですが、思うことがあって、今後できるだけ頻繁に、血液ガス分析について書いていきます。
血液ガスは、救急外来で最もよく行われる検査の一つですが、解釈が難しいと感じている人が多いのではないでしょうか?私も研修医の先生と一緒に血液ガスについて勉強していて、一番研修医の先生が苦手にしている物の一つだと感じます。そして、私ももちろん、超苦手です。
一度にたくさん勉強しても身につかないし、続かないので、少しずつですが、勉強して行きます。よろしくお願いします。
今日は「血液ガスを何と呼んでいるか?」について書きます。知っている範囲の呼び方ですが、正式名はたぶん、血液ガス分析です。
・血ガス(けつがす)
・ABG(arterial blood gas)
・BGA(Blood gas analysis)
・単に「ガス」
「血ガスをとります!」と言うと、看護師さんが「血圧は、120の80です。」などと言うので、血圧と聞き間違いやすいのでしょう(^^)。他の言い方が良いのかも知れませんね。
血液ガスは、救急外来で最もよく行われる検査の一つですが、解釈が難しいと感じている人が多いのではないでしょうか?私も研修医の先生と一緒に血液ガスについて勉強していて、一番研修医の先生が苦手にしている物の一つだと感じます。そして、私ももちろん、超苦手です。
一度にたくさん勉強しても身につかないし、続かないので、少しずつですが、勉強して行きます。よろしくお願いします。
今日は「血液ガスを何と呼んでいるか?」について書きます。知っている範囲の呼び方ですが、正式名はたぶん、血液ガス分析です。
・血ガス(けつがす)
・ABG(arterial blood gas)
・BGA(Blood gas analysis)
・単に「ガス」
「血ガスをとります!」と言うと、看護師さんが「血圧は、120の80です。」などと言うので、血圧と聞き間違いやすいのでしょう(^^)。他の言い方が良いのかも知れませんね。
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