2021年7月6日火曜日

アニオンギャップを計算しましょう

  血液ガス分析を行った場合、必ずアニオンギャップを計算しましょう。今は乳酸を直接測定できるから必要ないという意見もありますが、計算するだけです(器械が自動的に算出する場合も多いです)から害はありません。またアシドーシスの原因は乳酸だけではありませんので計算しましょう。


 アニオンギャップはカリウムを含んでいる場合がありますので、自院の器械がどう言う計算でアニオンギャップを計算しているかはチェックしておきましょう。


 熱中症で来院された患者さんです。

pH 7.425

PCO2 37 torr

HCO3 23.7 mEq/L

Na 141.9 mEq/L

CL 101 mEq/L


 一見問題ない値です。よってスルーしてしまいそうですが、自動的に計算されたアニオンギャップは21.2 mEq/L(Kは3.99 mEq/Lでした。計算すると21.19 mEq/Lですので四捨五入されているのでしょう)で上昇しています。Kを除いても17.2 mEq/Lと増加しています。乳酸値は2.63 mmol/Lでした。


 補正HCO3を計算すると23.7+(17.2−12)=28.9 mEq/Lで上昇しています。この人のアルブミン値は5.1g/dLで低アルブミン血症はありませんでした。


 アルブミンが高い場合には、逆補正がいると考えると2.75(=(4.0−5.1)×2.5)を引くことになり、アニオンギャップは14.45となるため、正常値と考えても良いのかも知れませんが。


 この患者さんはもともと代謝性アルカローシスがあったのかもしれませんね。アニオンギャップを計算しなければ代謝性アシドーシスを見逃したかも知れません。

 当然ですが、この方は輸液をしていただき、経過観察入院となりました。


 繰り返しますが、この方は発汗多量で体調も悪く、乳酸値が高いので、アニオンギャップがなくても診断は可能ですね。



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