2021年6月27日日曜日

浸透圧ギャップは血液ガス分析に役立つか?

 中毒患者さんや原因不明の意識障害では浸透圧ギャップ(正確には浸透圧モル濃度ギャップと言うべきかも知れません)を計算しましょうと言われます。アニオンギャップ上昇があればやはり計算すべきと言う意見もあります。本当なのでしょうか?


  UpToDateの「Serum osmolal gap(血清浸透圧ギャップ)」と言う文献に鑑別が載っていました。代謝性アシドーシスの有無でまず2つに分けます。


アニオンギャップ上昇型代謝性アシドーシスあり

 浸透圧ギャップ大 エチレングリコール

          メタノール

          プロピレングリコール

 浸透圧ギャップ小 重篤な慢性腎臓病(非透析)

          ケトアシドーシス(糖尿病性、アルコール性)

          乳酸アシドーシス

          パラアルデヒド(経口、静注)

アニオンギャップ上昇型代謝性アシドーシスなし

 エタノール

 イソプロパノール

 ジエチルエーテル

 マニトール、ソルビトール、グリシンの点滴

 偽性低ナトリウム血症(重症な高脂血症、高タンパク血症)


 浸透圧ギャップは必ず計算した方が良さそうですね。最後の偽性低ナトリウム血症では、血液ガスの電解質を使えば起こりません。血液ガス分析は通常の生化学検査の電解質とは違う方法で測定しているからです。


 また以下の本のP.104にも似たような分類が載っています。


浸透圧ギャップ上昇なし、アニオンギャップ上昇あり サリチル酸
浸透圧ギャップのみ上昇 エタノール、イソプロパノール
浸透圧ギャップ、アニオンギャップ両方上昇 メタノール、プロピレングリコール

浸透圧ギャップは単純な算数ですが、面倒なのでアプリで計算しましょう。例えばM2Plus Launcherです。


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