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2020年6月29日月曜日

体温が低い患者さんは補正すべきなのか?

 低体温の患者さんが救急車で運ばれることがあります。低体温は色々な注意をしなければならない重症患者さんです。

 血液ガスデータもきちんと解析したいですね。以下の本のP.373には温度が1度低下する毎に、pHは0.015低下し、PaCO2は4.3%低下するとあります。

 ちなみに、血液ガスは、検体を37度に温めて検査をしています。体温が30度だった患者さんであっても、検体は37度に温められて検査されています。


  何故PCO2が低下するのか考えたのですが、分かりませんでした!こちらの文献も読んだのですが、、、、、、トホホ。

 ボイル・シャルルの法則と言うのがあり、PV=nRTと言う公式を覚えている方もおられると思いますが、温度が下がればPVは下がります。同じ一気圧がかかっているので、Pは下がらないのではないかと思ったのですが、PCO2もPO2も下がるのだそうです。しかし、溶解度は増えるとのことで、ちんぷんかんぷんです。私は化学が理科の中で最も苦手だったのです!

 と言うことで、化学が苦手な皆さんに朗報です。色々議論はあるようなのですが、低体温の患者さんでも、打ち出されたデータに基づいて治療をすればいいです。そのような方針をαーstatと言います。低体温患者さんが来院されたら、格好良く、「血液ガスはアルファスタットでいこう!」と言いましょう。

 また、体温の補正をしたい場合、多くの器械は患者さんの体温を入れるところがありますので、入れておけば自動的に補正されます。その際はpH-statと言うようですが、「ピーエッチスタットで行こう」と言いましょう。間違ってもペーハースタットと言わないように。若い人はピーエッチと習っているようですから。ペーハーは歳よりの証拠です。

 もっと詳しく勉強したい方は、こちらこちらのサイトをご覧ください。英語です。

2018年3月23日金曜日

低体温再び

 低体温の患者さんが来られました。自宅内で倒れていたとのことです。SpO2が測定できず、酸素4L/分で投与されていました。グッドジョブです!直腸温を測定したところ、30.8度でした。体温が低いため(循環血液量が減少していたのも原因かもしれません)血管が収縮しており、SpO2が測定できなかったのでしょう。救急はオーバートリアージですので、低酸素を除外できないのであれば酸素投与が原則です!

pH 7.147
PCO2 24.1 mmHg
PO2 180.3 mmHg
HCO3 8.1 mmol/L
BE -19.0 mmol/L
AnionGap 28.4 mol/L
乳酸 2.10 mol/L

 著明な代謝性アシドーシスと代償性の呼吸性アルカローシスでしょうか。採血では横紋筋融解と循環血液量減少が疑われました。大量輸液をして、加温をして入院となりました。

 前回の記事を参考にしていただくとよいですが、血液ガス検査は検体を37度にして検査をします。よって低体温の場合には、実際の値と異なる可能性があります。しかし、通常はそれを考慮せず、データとして表示されたものをそのまま解釈して問題ないようです。

2017年12月29日金曜日

体温が30度の患者さん

 外で倒れていたと言う事で搬入された90歳の男性です。体温は30度でしたが、意識は清明で、体温以外のバイタルサインに異常はありませんでした。

pH 7.279
PCO2 38.4 mmHg
PO2 71.9 mmHg
HCO3 17.6 mmol/L
BE −9.5 mmol/L
Na 142.6 mEq/L
K 4.66 mEq/L
CL 108 mEq/L
AnionGap 21.7 mmol/L
Lactate 6.82 mmol/L

 血液ガスの検査は体温が37度だと仮定して検査をするようです。この人はそれよりも7度も体温が低いので、患者さんの体内でのデータと、出された結果には違いがないのでしょうか?実はあるのです。体温で補正して治療をしなければならないという考えはpH-statと言うようです。補正しなくて良いと言うのがα-statと言うようです。どちらが良いのか議論があるようです。

 しかし、こちらのブログにも書きましたが、体温が低くても、普通に解釈して治療して構いません。本当は体温が下がるとPaCO2は低下するようなので、この人は呼吸性アシドーシスがあるのかも知れませんが、気にしなくて良いです。SpO2が93%程度でしたので念のため酸素投与を行っています。

さて、この血液ガスの解釈をしてみます。
 この患者さんはpHが低く、アシドーシスがあります。
 PCO2が正常ですので、代謝性アシドーシスがあります。
 Anion Gapは正常値の12 mmol/Lから9.7 mmol/L上昇しており、AGが上昇する代謝性アシドーシスがあります。
 補正HCO3(アニオンギャップの上昇値をHCO3に足した物)は27.3 mmol/L程度であり、代謝性アルカローシスはなさそうです。
 AG上昇の代謝性アシドーシスでは、中毒、腎不全、乳酸アシドーシス、ケトアシドーシスなどを考えるのでしたね。この人は、乳酸が正常値の2 mmol/L以下より高値なので、乳酸アシドーシスと考えて良いでしょう。乳酸値の上昇とAGの上昇には明確な関連はないようです。
 乳酸アシドーシスの原因は、きっと低体温による循環不全でしょうね。

 加温と輸液で検査データは改善しました。ちなみに、低体温を温かい輸液で治療しようという試みはしないようにしましょう。