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2020年7月10日金曜日

低ナトリウム血症を見たら、尿の電解質も測定してみましょう

 低ナトリウム血症は入院患者さんでよく見かける電解質異常であり、点滴をする医師は知っていなければならない病態です。しかし、低ナトリウム血症は複雑で、なかなか上手く対応が出来ません。私も色々勉強して知っているつもりでしたが、知らないことが多くて日々勉強です。

 さて、今日は低ナトリウム血症の時の治療の鑑別に役立つ指標です。詳しいことは調べていただくとして、点滴を考える時、以下のことを考える必要があります。

(点滴のNa濃度+点滴のK濃度)>(尿中Na濃度+尿中K濃度)

 こうしないとナトリウムはさらに下がっていくのだそうです。これは知りませんでした。つまりは、尿中Naと尿中Kを測定しなければならないと言うことです。本によっては浸透圧や尿酸、クレアチニンを測定すべきだとありますが、今回は取りあえずナトリウムとカリウムだけ取り上げます。

 例えば、生理食塩水を投与すればナトリウムは上がるだろうと思いますが、尿中Na+尿中Kが154mEq/L以上あれば、何と生理食塩水を投与してもナトリウムが下がるのだそうです。これはビックリでした。

 また、以下の式で治療法を使い分けることが出来ます。

 血清Na>尿中Na+尿中K 薄い尿が出ていますので水分制限だけで良いです。
 血清Na<尿中Na+尿中K 薄い尿が出せていないので、生理食塩水あるいは高張食塩水が必要です。

 高調食塩水は3%の物を作るように書かれていますが、3%にはエビデンスがあるわけではなく、作るのが大変であればメイロンでも良いそうです。メイロンは1000mEq/Lというナトリウム濃度がかなり高い点滴ですので速度に注意が必要ですが、緊急時には使っても良いかもしれません。

 何はともあれ、低ナトリウム血症の患者さんを見つけたら、あるいは点滴をしていて尿検査をする人がいたら、ナトリウムとカリウムをオーダーしていただき、点滴のメニューを決めていきたいですね。

2020年7月9日木曜日

本の紹介

 血液ガス入門本の紹介です。2600円ですしお勧めです。

 新生児を診ることがなくても大丈夫です。血液ガスについての解説は大人と変わりませんし、なんと生後1時間で大人と同じになるんだそうです。知りませんでした!臍帯血の血液ガスについても解説がありますが、pH、PO2、HCO3が大人より低く、PCO2が高いだけで解釈は同じです。

 イラストも多くて分かりやすいですし、赤ちゃんのイラストですから、女性は気に入るのではないでしょうか。その割に内容が薄いかと言えばそうではなく、片肺挿管では何故SO2が90%位までしか上がらないか?等の解説もありますし、低体温についての解説や、シリンジにエアーが入った場合等も解説されています。

 二酸化炭素の運搬について解説されている入門書は、私の知るかぎりこの本だけです。とても勉強になりました。

2020年7月3日金曜日

Na-CLを計算しましょう

 Na-CLが36以上は代謝性アルカローシス、以下は代謝性アシドーシス(AG正常)が疑われると以前も書いた(こちらの論文を紹介させて頂いた記事でした)のですが、別の説明を見つけましたのでご紹介します。以下の本の994ページです。何とこの本現在新品が手に入らないようで、Amazonなどでは中古品の方が高い(と言うか新品は売っていない)値段になっています。楽天でも購入できませんので、電子版を購入しました。


 アニオンギャップの式は以下の通りです。

Anion Gap=Na−CL −HCO3+2.5×(アルブミンの正常値−Alb)

 式を変形します。

Na−CL=AG+HCO3−2.5×(アルブミンの正常値−Alb)・・・・・式(1)

 Na−CLが上昇するのは、AGが上昇した場合か、HCO3が上昇した場合、あるいは両方となります(Albが増加した場合もそうですが、あまり考えなくて良いでしょう)。しかし、AGが上昇すると、その分だけHCO3が低下します。HCO3は他のイオンの変化に伴って容易に変化します。AGが増加したと言うことは、その分だけ酸(酸は水素イオンを放出しますから、必ず陰イオンとなります)が増えていると言うことです。陰イオンが増えていますから、その分HCO3は低下します。
 ここで補正HCO3という概念を考えるのですが、AGが上昇している場合、もし、AGが正常に下がったらHCO3はいくらになるのか?それが高ければAGが増加する代謝性アシドーシスに加えて、代謝性アルカローシスもある、低ければAGが増加しない代謝性アシドーシスがあると言うことになります。補正HCO3を出す計算が以下のような物です(AGの正常値を12とする)。 

補正HCO3=HCO3+(AG−12) これを変形すると、

HCO3=補正HCO3−AG+12 となります。これを式(1)に代入すると

Na−CL=AG+(補正HCO3−AG+12)−2.5×(アルブミンの正常値−Alb) となって、結局

Na−CL=補正HCO3+12−2.5×(アルブミンの正常値−Alb) となります。

 補正HCO3はAGが正常になった場合のHCO3ですから、AGが高くても低くても正常でも関係ありません。補正HCO3が高ければ代謝性アルカローシス、低ければ代謝性アシドーシス(AG非増加型)ということになります。Albが正常であれば、HCO3の正常値は24ですので、Na−CLが36より大きいか小さいかで切ることになります。また、アルブミンがあまりに低いとNa−CLも下がります。アルブミンの正常値を4、測定されたアルブミン値が2だったとすると。Na−CLは31で切ることになります。よって、Na−CLは30から40ぐらいまでは正常と考えても良いかもしれません。

 また、Na−CLが36前後であれば酸塩基平衡に異常がないかというと、AGが増加する代謝性アシドーシスは分からないですし、代謝性アルカローシスとAG非増加型代謝性アシドーシスが混在していると異常を示さないかもしれません。

 まあ、Na−CLだけで血液ガス分析が全部解釈できるはずはありませんので、当たり前ですね。

 どちらにしても、一般血液検査を出したら、Na−CLを計算してみることは大切ですね。低い時は30以下、高い時は40以上を基準として異常と判断し、異常と思ったら血液ガス分析を行いたいですね。アメリカのように、血液生化学検査の一つとしてHCO3が検査できると良いのですが(日本でもやっているところはあるようです)。

2020年6月30日火曜日

パルスオキシメーターは機能的動脈血酸素飽和度を測定しています。

 今回は手抜きです。

 タイトルについてはこちらの論文を読んでいただけば良いです。

 以前酸素飽和度は機能的酸素飽和度と分画酸素飽和度があるとお話ししました。機能的酸素飽和度は酸化ヘモグロビン÷(還元ヘモグロビン+酸化ヘモグロビン)で求められます。パルスオキシメーターはこちらを求めます(でないものもあるようですが)。

 ヘモグロビンは酸化と還元以外に一酸化炭素ヘモグロビン、メトヘモグロビンなどがあります。分母にこれら全てのヘモグロビンを入れた物が分画酸素飽和度です。

 よって、機能的酸素飽和度>分画酸素飽和度です。例えば一酸化炭素中毒では、通常のパルスオキシメーターは、一酸化炭素ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンを区別できないので、機能的酸素飽和度>>分画酸素飽和度となります。

 血液ガス分析は静脈血で行って、酸素化はSpO2で見れば良いよと言う考えは、だいたい正しいのですが、時におかしな事になるので、動脈血で血液ガス分析を行うのは大切なことです。

2020年6月29日月曜日

体温が低い患者さんは補正すべきなのか?

 低体温の患者さんが救急車で運ばれることがあります。低体温は色々な注意をしなければならない重症患者さんです。

 血液ガスデータもきちんと解析したいですね。以下の本のP.373には温度が1度低下する毎に、pHは0.015低下し、PaCO2は4.3%低下するとあります。

 ちなみに、血液ガスは、検体を37度に温めて検査をしています。体温が30度だった患者さんであっても、検体は37度に温められて検査されています。


  何故PCO2が低下するのか考えたのですが、分かりませんでした!こちらの文献も読んだのですが、、、、、、トホホ。

 ボイル・シャルルの法則と言うのがあり、PV=nRTと言う公式を覚えている方もおられると思いますが、温度が下がればPVは下がります。同じ一気圧がかかっているので、Pは下がらないのではないかと思ったのですが、PCO2もPO2も下がるのだそうです。しかし、溶解度は増えるとのことで、ちんぷんかんぷんです。私は化学が理科の中で最も苦手だったのです!

 と言うことで、化学が苦手な皆さんに朗報です。色々議論はあるようなのですが、低体温の患者さんでも、打ち出されたデータに基づいて治療をすればいいです。そのような方針をαーstatと言います。低体温患者さんが来院されたら、格好良く、「血液ガスはアルファスタットでいこう!」と言いましょう。

 また、体温の補正をしたい場合、多くの器械は患者さんの体温を入れるところがありますので、入れておけば自動的に補正されます。その際はpH-statと言うようですが、「ピーエッチスタットで行こう」と言いましょう。間違ってもペーハースタットと言わないように。若い人はピーエッチと習っているようですから。ペーハーは歳よりの証拠です。

 もっと詳しく勉強したい方は、こちらやこちらのサイトをご覧ください。英語です。

2020年6月28日日曜日

溶存酸素の係数は何故0.003か

 血液中に酸素がどのぐらい含まれているか?を知るには、酸素含有量という指標が必要です。動脈であれば、CaO2と言います。

 CaO2=Hb結合酸素+溶存酸素
 =1.39×Hb濃度×酸素飽和度+0.003×PaO2

 Hb結合酸素の係数「1.39」については別に解説しましたので、良かったらご覧ください。

 さて、今日は0.003についてです。こちらのサイトに書いてありますので読んでください。勉強になりますし面白いです。高校までの化学の知識も復習になります、、、、、、たぶん。

 さて、そのサイトの3ページ目に載っていますが、溶存酸素の係数の求め方です。と言うか、普通は求める必要はありません(^^)。

 気体が液体に溶ける量は分圧に比例しますが、通常の我々の環境であれば、1気圧、つまり760mmHg中の割合に比例します。また気体によって液体への溶けやすさが違います。それを表した係数がブンゼン係数と言い、酸素は0.024だそうです。CaO2は「/dL」で表すので、PaO2が1mmHgの時の溶存酸素の量は以下の通りです。1dL=100mlです。

 1÷760×0.024×100=0.00315789

 となります。よって、溶存酸素の係数は0.003、あるいは本によっては0.0031となっています。0.0032じゃないのか?等と細かいことを言っていると女性にもてませんので注意しましょう。たぶんですが、血液は純粋な水ではありませんから、ブンゼン係数が多少変化するのでしょう。まあ、臨床ではPaO2が100であっても0.3ml/dLしかなく(CaO2は20ml/dL程度です)1.5%程度ですので、無視してCaO2=Hb結合酸素と考えても問題ない場合が多いです。

 ちなみに、何故「/dL」なのか?よく分かりませんが、Hbも「g/dL」ですので、「/dL」が扱いやすいのではないでしょうか。

2020年6月22日月曜日

代謝性アシドーシスの3ステップ法

 日本内科学会雑誌2019年6月号P.1177〜1180の受け売りです。この雑誌は1年たつと、JSTAGEで公開され、一般の人でも論文に無料でアクセスできます。

 取り上げる論文は、今月6月10日頃から一般公開される予定でしたが、何故かこの論文だけ公開されません。「苦手を得意に!血液ガスOne Step more」というシリーズで第3回なのですが、何故か第1回と2回も公開されていません。何かあったのでしょうか。

 私は内科学会に入っているので雑誌は持っており、血液ガスに関しては興味を持っていましたが、この論文見逃していました。雑誌も捨ててしまい、ネットの公開を待っていたのですが、、、、、

 代謝性アシドーシスの場合には、Boston法という方法で解析すれば簡単だそうです。3つの暗算(それも足し算と引き算のみ)をするだけです。もちろんですがpHが高い時は使えません。



 アシデミア(pHが7.35未満)であれば、ステップ(1)をします。

(1)AG(Na−CL−HCO3)を計算
  AGが12以下ならAG非上昇型(non-Gap)アシドーシス ステップ(3)へ。
  AGが12以上ならAG上昇型(Gap)アシドーシス ステップ(2)へ。

(2)Na−CLを計算
  36未満なら代謝性アシドーシス(AG非上昇型)も合併している。
  36を越えるなら代謝性アルカローシスも合併している。
  36であればAG上昇型代謝性アシドーシスのみ

(3)HCO3+15を計算
  PaCO2<HCO3+15 呼吸性アルカローシス
  PaCO2=HCO3+15 呼吸性代償
  PaCO2>HCO3+15 呼吸性アシドーシス

 この方法ではアルブミン補正が入っていませんので、アルブミン補正はした方が良いでしょう。補正AG=AG+2.5×(アルブミンの正常値−Alb)です。アルブミンの正常値は4でいいでしょう。4.4という文献もありましたが、2.5×0.4=1ですので誤差の範囲です。

 Na-CLの正常値は36だけかというとそうではないでしょう。36±5ぐらいはあると思われます。Na-CLが30以下であれば明らかにnon-Gapアシドーシスがあるでしょうし、40以上であれば代謝性アシドーシスがあるでしょう。両者が合併した場合はどうなるのか?興味深いところです。

 しかし、この方法は他の方法に含まれている物です。緊急で解釈が必要なのはアシドーシスだけではないかと思いますので、緊急時には役立つのではないかと思われます。が、極論を言えば、アシデミアであればBEと乳酸を見たら良いと思います。この二つを表示しない血液ガスの器械は今の日本にはないのではないでしょうか。BEが低い、あるいは乳酸が高い、あるいは両方があればヤバいと思えば良いです。BEは使うべきでないという意見もあるのですが、私は使うべきだと思います。後でちゃんと解析すれば良いだけです。BEだけ見て終わりでは確かにいけません。

2020年6月16日火曜日

AGをAlbで補正するなんて聞いたことなかったぞ!

 アニオンギャップをアルブミン値で補正するのは、ほぼ常識になりつつありますが、そんなこと知らなかったぞ!と言う人もおられると思います。私もそうです。いつ知ったのか覚えていませんが、5年ぐらいしかたっていません。

 研修医の頃血液ガスについて勉強したし、その後もそれなりに勉強したけどな〜なんて思っていましたが、なんとこちらの論文によれば15年ほど前から言われ始めたのだそうです(論文が出たのが2018年で13年前からと書かれています)。原文は「Surprisingly, it is only within the last 13 years that a correction factor has been developed that can be introduced into clinical practice.」です。日本語にすれば「驚くべき事に補正係数が示され、それが実際の診療に紹介されてから13年程度しか経っていない」という感じです。

 また同じ文献には、有名なテキストでアニオンギャップがどう書かれているかについての表が載っており、何とセシル内科学第24版にはアニオンギャップをアルブミンで補正する記載がまったくないとのことです。こちらによればセシル内科学の原著は2020年に第26版が出ているそうです。Albの補正が書かれているか読んでみたいですが、、、、、、28699円とのことです。病院で買ってもらおう、、、、、、、

 以下の本は研修医の時に第一版を読んで、その後第二版が出たと言うことで原著を買って良く読んだ記憶があるのですが、なんと、P.128にアルブミンが低下するとAGが低下すると書かれています。補正をしなさいとは書かれていませんが、しっかり読んだはずなのに、、、、、、英語だったから仕方がないと言うことにしておきましょう。第二版で出版が止まっているのが残念です。第二版の原著は1999年に出版されています。



 よって、「先生Alb補正するのは常識ですよ!そんなことも知らないんですか?」と若い先生に馬鹿にされたら以下のように対応しましょう。

 「アルブミン補正なんて、俺が研修医の頃はなかったぞ!少なくとも2005年までは、俺は血液ガスについて最新の知識を得ていたが、そんなのは載っていなかった!最近言われ始めたんじゃないのか?」と答える。

 「俺はセシル内科学を読破したけれど、そんなこと書いてなかったぞ!えっ!今は26版なんだ、、、、、、俺は24版を読んだんだけどな。」と答える。

 「そうなんだ、アルブミンで補正するなんて知らなかったよ〜。君はよく勉強しているね。ところで、何でアルブミンが低いとAGが低くなるんだ?」と答える。

 最後の様に言われた若い先生向けの記事を明日アップする予定です。

2020年6月13日土曜日

貴方は血液ガスに自信がありますか?

 この論文ずっと探していました!!昔読んだ本に書いてあったのですが、その本を紛失してしまい、どうやったら検索できるかと思っていました。が、ネット記事に引用されていたのを見つけました。

Hingston DM, Irwin RS, Pratter MP, Dalen JE: A Computerized Interpretation of Arterial pH and Blood Gas Data: Do Physicians Need It? Respiratory Care 1982;27(7): 809-815.

 学生や医師(ある程度のベテランも含む)に血液ガスの講義をし、コンピューターによる血液ガス解析プログラムの話をたところ、61%は血液ガスデータ分析の基礎知識はあると答え、71%はコンピュータによる血液ガスデータ分析は不要であると返答したそうです。しかし、血液ガスデータ分析クイズをしたところ、正答率はわずか39%に過ぎなかったというものです。

 つまり血液ガス分析は理解するのが困難だと言うことです。よって血液ガスを勉強する時に大切なことは、分からなくても良いんだと言う気持ちでやることです。どうしよう!?全然分からないと言っていると、全く分からないままです。少しで良いから分かれば良いと思います!

 私は基礎知識があり、ちゃんとクイズに正解できると言える自信はありません、、、、、、でも、そうなるように日々勉強しています。

2020年6月12日金曜日

Tic-Tac-Toeによる血液ガス分析のやり方

 動画の紹介です。

 Tic-Tac-Toe法というものです。普段から血液ガスの解釈をしている方は当然のことでこんなカード使わなくてもと思うかもしれませんが、初学者の人には良いと思います。

 以下の動画を是非ご覧ください。もちろんですが、日本語音声です。



 こちらには文字で解説がありますが、英語なのでGoogle chromeで翻訳して頂けば良いかなと思います。

2020年6月4日木曜日

血液ガスがなくても想像できるように

 今日は本の紹介です。血液ガスマイスターを目指して色々勉強しています。

 世界でいちばん血液ガスが分かる本とのことで購入しました。血液ガスを一般の人にも教えているという著者の先生の本です。ええっ!?一般の人に教える必要があるの?と思いましたが、それについては書かれていませんでした。が、一般の人でも15分あれば何とか性○○○ーシスと診断できるとのことです。確かにそうかも知れないと思いました。


 この本が良いなと思ったことは、看護師さんも読者の対象としているためか、検査をケアに活かすと言う視点が貫かれていることです。血液ガスを勉強しよう!と思うと、どうしても○○性○○ーシスと診断して満足してしまいがちですが、それは手段の一つであって、目的ではないという事があちこちに書かれています。
 一番良いなと思ったのは、血液ガスが測定されていない時に、血液ガスの知識を活かそうと言うところで、例えば呼吸が早い人がいたら呼吸性アルカローシスがあるわけですが、そう言う人は呼吸性アルカローシス以外に、代謝性アシドーシスがある可能性もあるということが、血液ガスを勉強すれば分かると言うことです。

 あと代償性変化の説明を砂で説明されているのが確かに世界一分かりやすいと思いました(^^)。

 血液ガスを勉強するための最初の本としてお勧めです。2000円で安いのもポイントです。血液ガスをマスターしたという方も、後輩に伝える時の参考になると思います。是非ご購入を!

2020年5月27日水曜日

血液ガス分析がなくても解釈出来ます

 救急やカンファンレンスなどでよくある話ですが、こう言う患者さんにこう言った検査をして、、、、、、とプレゼンすると、「これは○○に決まってるでしょ。何で△□検査してないの!?」と言われることがあります。

 後出しじゃんけんは良くないですね。血液ガス分析では、血液ガス分析がないと解釈が出来ないかというと、そうではないのです!!これからは、何で血液ガスとってないの??と言う前に以下(こちらのサイトに書かれています)を読んで、「NaとCL、Alb値からHCO3を予測すると、30と高値を示しているから、この人は代謝性アルカローシスがあるかも知れないね」などと言うと尊敬されると思います、、、、、、知らんけど。

 詳しい説明はサイトを読んでいただくとして、以下のように計算します。なんとAnion Gapを計算する時のHCO3の代わりにAlb×2.5を入れるだけです。

予想HCO3=Na−CL−2.5×Alb

 ちなみに、欧米では血液生化学検査の一つにHCO3があるのだそうです。日本でも普及すると良いですね。

2020年3月18日水曜日

HCO3+15の続き

 昨日紹介した論文のタイトルは「Bedside rule secondary response in metabolic acid-base disorders is unreliable」です。日本語にすれば、「代謝性アシドーシスにおける代償性反応を簡単に予想できる式は信頼できない」と言う感じです。

 原文を読んでみました(ネットでは雑誌の購読者しか読めませんが、ある方法で原文を手に入れました)。

 ハリソン内科学やUpToDate、American College of Physicians guidelineにも、HCO3+15が紹介されていて、不正確だから削除すべきだという内容です。

 ハリソンは持っていないのですが、UpToDateはたぶん「Approach to the adult with metabolic acidosis(成人の代謝性アシドーシスへのアプローチ)」という文献で、Winterの式、HCO3+15以外に以下を紹介しています。

 pHの小数点以下とPCO2が同じという物です。pHが7.25ならpCO2は25ぐらいだというのです。

 これら三つとも使用できると書いています。

 論文では、代謝性アシドーシスではWinterの式とHCO3+15、代謝性アルカローシスでは0.7×([HCO3]−24)+40とHCO3+15を比較して、差がある(最大6)から良くないと書いているのですが、もしかしたらHCO3+15の方が正しいのかも知れないのに、それについてのコメントはありませんでした。

 そもそも、例えばHCO3が15だった場合の正しい?PCO2はいくらなのかどうやって決めるのでしょうか?

 人間の身体は色々ですし、Winterの式も±2なので、最大4の差があるわけですから、簡単に15を足すということで良いのではないかと思いました。

 気になる方は、電子カルテにひな形を入れておけば良いと思います。簡単にコピー出来ますから、代謝性アシドーシスでは40−1.25×(24−[HCO3])、代謝性アルカローシスでは40+0.75×([HCO3]−24)と書いておいて計算すれば良いかもしれません。
 もっと気になる方は、全ての方法で計算して比較し、どれを採用するか考えたら良いと思います。

 しかし、呼吸性アルカローシスと判断しても呼吸性アシドーシスと判断しても、大切なのは患者さんの状態であり、あまり厳密に考える意義はないのかもしれません。単純に患者さんの状態とPCO2の値だけで今後の介入を考えても良いでしょう。

 なので、私はHCO3+15、あるいはpHの小数点以下がPCO2と言う簡単な物をお勧めします。大切なことは、これらは不正確な可能性があると知っていることです。禁忌な治療であっても、禁忌だと知っていればやって問題ないです。それでもやりたいわけですし、禁忌である理由(その為に起こり得る副作用)に気をつけますので。

2020年3月17日火曜日

PCO2=HCO3+15はだめ?

 以前代謝性アシドーシスや代謝性アルカローシスの場合に、PCO2がHCO3+15位になればちょうど良い代償性変化だと書きました。
 しかし、最近読んだHospitalistと言う雑誌の特集に、HCO3+15は「勧められない」と書かれていました。

 がーん!!

 その雑誌はHospitalistの最新刊で、Vol.7、P.868-875, 2019です。内科エマージェンシーの特集で「代謝性アシドーシス」のところです。

 こちらの論文で不正確だと指摘されているそうで、以下の式(Winters formula)を推奨しています。

PCO2=1.5×[HCO3]+8±2

 濃度を表す時には、[]を使うのが正しいのだだそうです。きっと学生時代に習ったんでしょうが、忘れてしまいました、、、、、、また、本当はHCO3の後に「-」等電荷を上付きでつけなければなりませんが、入れ方が分かりません、、、、、、すみません。

 以前紹介した本「酸塩基平衡の考え方(南江堂)」のP.108-109には、両者の計算値が載っています。一番正しい?PCO2の予想は、代謝性アシドーシスでは予想PCO2=PCO2−(24−HCO3)×1.25だそうで、代謝性アルカローシスでは、予想PCO2=PCO2+(HCO3−24)×0.75だそうです。

 HCO3+15は、HCO3が正常値から外れるに従って予測値と大きく差が出てきます(と言っても4は越えない)。
 Winters formulaは、代謝性アシドーシスに限って使う物のようですが、軽度のアシドーシスの時には予測値と外れています(が同じように4は越えません。何とHCO3が24の時が一番差が大きい)。

 よって、代謝性アルカローシスと軽度の代謝性アシドーシスではHCO3+15を用い、HCO3が14を切るぐらいの重症な代謝性アシドーシスではWinnters fomulaを使うのが良いかもしれません。しかし、Winterus fomulaは±2と言うのがついていて、曖昧ですよね。

 と言うか、最初から代謝性アシドーシスならHCO3の変化×1.25を引き、代謝性アルカローシスならHCO3の変化×0.75を足せばイイじゃない!ってことになりませんかね。アシドーシスは1.25、アルカローシスは0.75を覚えるのが大変なので、+15を覚えれば良いので、HCO3+15で良いんじゃないでしょうか。人間の身体は計算通りにはいきませんしね。

<今回の極論ポイント>
 呼吸性代償はやはりHCO3+15で良いでしょう。

2018年3月2日金曜日

本の宣伝です

 血液ガスとは関係ありませんが、別のブログに書いていたことを、日本医事新報社の方に本にして頂きました。

 絶賛発売中ですので是非ご覧戴き、ご意見頂けると嬉しいです。




2017年12月3日日曜日

他サイトの紹介

 血液ガスブートキャンプというサイトがあります。

 例えば、ホームページに載っている症例がすごいです。私もこちらで勉強させて頂いています。

 となると、私が書いている、このブログの意義がなくなっちゃいますが(T_T)。

 今日は手抜きです。

2017年12月1日金曜日

勉強会と書籍の紹介

 こう言うサイトがあります。来週に勉強会があるようです。申し込んでみてはいかがでしょうか。

 血液ガスはたった一つの検査方法ではありますが、奥が非常に深いです。同じ事を色々な人に解説してもらって、やっとなんとなく分かると言う事もあると思います。私もかなり勉強したつもりですが、色々な先生が書かれていることを読むと、へえ〜と思う事がたくさんあります。

 一生勉強していかなければならないでしょう。

2017年11月17日金曜日

血液ガスの勉強は少しずつやりましょう

 日本人は特にまじめです。特に、看護師さんは本当にまじめで、勉強会などがあれば熱心にメモを取って参加されています。

 しかし、血液ガスに関しては、是非辞めましょう。例えば、血液ガスについてと言う本を探せば、最近はわかりやすい本が出てきてはいますが、逆に相当分厚い本も売られています。つまりは、突き詰めるとそのぐらいでも足りないぐらいの内容だと言うことです。

 いきなりそんなことを勉強すると、挫折してしまいますので、少しずつやりましょう。全く分からないよりは、少しでも分かる方が良いです。pHは7.4が正常値の真ん中なんだなとか知れば良いです。あるいは、特別な注射器で採血するんだなとか。

 だんだん分かってきたら前に進めば良いです。

 今詳細なデータを見つけられないのですが、以前こんな話を聞きました。

・ある教育病院の指導医に血液ガスデータの解釈に自信があるかと質問したら、80%近くの医師がYesと答えたが、実際にきちんと解釈できた医師は半分にも満たなかった。
・別の教育病院では、研修医によって誤った解釈がされて、不適切な治療がされている患者さんが20%近くいた。こちらの論文をご覧ください。かなり前のデータではありますが。

と言うような話です。アメリカの論文だったと思います。根拠を調べてみます!