今日は一酸化炭素中毒の場合です。まず患者さんが来院した時に血液ガスをとるべきかどうか?が問題です。一酸化炭素中毒の症状や診察所見は多彩で、3分の1は見逃されていると言う報告があるようです。
こちらの文献(総合診療 29 163-168, 2019)によれば、「寒い時期に熱がなくて、臓器がしぼれない症状が主訴の人」を見つけたら、静脈でも良いので血液ガスをとりましょうとあります。
血液ガスデータは一見正常ですが、CO-Hbが高値です。が、喫煙者は高いことが多いですし、時間が経っていれば正常値の場合もありますし、正常値だからといって一酸化炭素中毒を否定できず、感度は低いです。が、15%以上あれば高いと考えて良いとされています。
CO-Hbとは一酸化炭素と結合したヘモグロビンで、これは酸素とは結合できません。一酸化炭素は酸素の200倍ヘモグロビンと結合しやすいそうです。そうなるとヘモグロビン結合酸素が減りますので、酸素含有量が減ります。酸素含有量は、以前やりましたね。
動脈血酸素含有量(CaO2)=ヘモグロビン結合酸素 + 溶存酸素
=1.34×Hb×SaO2 +0.003×PaO2
通常のパルスオキシメーターは、一酸化炭素ヘモグロビンと酸素ヘモグロビンの区別が出来ません。血液ガスデータのSaO2は計算値ですので、一酸化炭素中毒の時の正確な酸素飽和度は分かりません。しかし、ヘモグロビン結合酸素が低下しているのは間違いないので、溶存酸素を増やす必要があります。
血液ガス分析にCO-Hbがない場合には、是非入れてもらいましょう。もしそれが無理だったり、血液ガスを測定できない状況で、一酸化炭素中毒を疑った場合には、ちゅうちょなく酸素を全開で投与しましょう。高濃度酸素が危険ということが最近言われていますが、短時間ならば全然大丈夫です!!
また高濃度酸素を吸っていると一酸化炭素の半減期が短くなるそうですから、高濃度酸素を投与するのは大切ですね。
<今回の極論ポイント>
一酸化炭素中毒を疑ったら、まよわず酸素を大量に投与しましょう。
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