2020年2月25日火曜日

BEは見なくても良いです(もちろん見ても良いです)

 BE(ベースエクセス;base excess)は、一目で代謝性アシドーシスを見つけるための指標のようで、緊急時にはよく使われています。BEが低い場合には、HCO3も低く、代謝性アシドーシスがあると考えて良いことが多いです。詳しくは省きますが、急性の呼吸性アシドーシスではBEは低下しません。

 BEは以下のような式で計算されます(一例です。色々あるようです)。

BE=HCO3−24.8+16.2×(pH−7.4)

 機械の業者さんによって違うようですが、上記のように、BEとHCO3はほぼ一対一です。

 しかし、色々限界があることも知っておかなければなりません。それは以下の通りです。

・低アルブミン血症では高くなる。
・pHの値がおかしい(HCO3とは逆の方向に呼吸性代償が強く働いた時など)場合にはHCO3と解離する。
・HCO3の変化が一次的な変化なのか、代償による変化なのかを区別できない。

 一つずつ説明します。低アルブミン血症ですが、以前書いたようにアルブミンは血液中でHイオンとAlbイオンに分離します。分離してHイオンを出す物質は酸と言う定義でした。よって、アルブミンは酸ですので、アルブミンが低くなれば、代謝性アルカローシスになります。BEはアルブミンが正常であるという前提で計算されるそうです。

 pHの値がおかしい場合です。HCO3が低くなったのに、呼吸性アルカローシスが合併し、pHが上昇した場合、BEの低下はそれほどでもなくなります。同じようにHCO3が高くなったのに呼吸性アシドーシスが合併してpHが低下した場合、BEの変化は少なくなります。

 代償かどうかについては、BEがHCO3とpHのみで決められていますから、区別がつきにくいです。

 一説によれば、昔は乳酸などが測定できなかったので、緊急時にBEを見て代謝性アシドーシスがあるなと思うような状況だったようですが、今は乳酸を測らない血液ガスは、クリープを入れないコーヒーのような(古い!)ものですので、BEを見る必要はないかも知れません。

 が、簡単に計算できるので、たぶん10年後にも、血液ガス分析のデータにはBEが計算され続けるでしょう。tCO2みたいに。

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