2020年7月10日金曜日

低ナトリウム血症を見たら、尿の電解質も測定してみましょう

 低ナトリウム血症は入院患者さんでよく見かける電解質異常であり、点滴をする医師は知っていなければならない病態です。しかし、低ナトリウム血症は複雑で、なかなか上手く対応が出来ません。私も色々勉強して知っているつもりでしたが、知らないことが多くて日々勉強です。

 さて、今日は低ナトリウム血症の時の治療の鑑別に役立つ指標です。詳しいことは調べていただくとして、点滴を考える時、以下のことを考える必要があります。

(点滴のNa濃度+点滴のK濃度)>(尿中Na濃度+尿中K濃度)

 こうしないとナトリウムはさらに下がっていくのだそうです。これは知りませんでした。つまりは、尿中Naと尿中Kを測定しなければならないと言うことです。本によっては浸透圧や尿酸、クレアチニンを測定すべきだとありますが、今回は取りあえずナトリウムとカリウムだけ取り上げます。

 例えば、生理食塩水を投与すればナトリウムは上がるだろうと思いますが、尿中Na+尿中Kが154mEq/L以上あれば、何と生理食塩水を投与してもナトリウムが下がるのだそうです。これはビックリでした。

 また、以下の式で治療法を使い分けることが出来ます。

 血清Na>尿中Na+尿中K 薄い尿が出ていますので水分制限だけで良いです。
 血清Na<尿中Na+尿中K 薄い尿が出せていないので、生理食塩水あるいは高張食塩水が必要です。

 高調食塩水は3%の物を作るように書かれていますが、3%にはエビデンスがあるわけではなく、作るのが大変であればメイロンでも良いそうです。メイロンは1000mEq/Lというナトリウム濃度がかなり高い点滴ですので速度に注意が必要ですが、緊急時には使っても良いかもしれません。

 何はともあれ、低ナトリウム血症の患者さんを見つけたら、あるいは点滴をしていて尿検査をする人がいたら、ナトリウムとカリウムをオーダーしていただき、点滴のメニューを決めていきたいですね。

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