アシドーシスになると、少しでもそれを緩和しようと細胞がHイオンを細胞内に取り込みます。その際にKと交換するようです(何かの陽イオンと交換しないと細胞内が+になってしまいます)。よって、細胞内からカリウムが放出され、高カリウム血症となります。アルカローシスになると逆に低カリウム血症となります。
今回の話題は偽性高カリウム血症です。つまり患者さんの体の中のカリウム濃度は正常なのに、採血するとカリウムが高いと報告されると言う状態です。これに血液ガスが役に立ちます。
結論を先に言うと、血清カリウム値が高いのに、血液ガス分析で行ったカリウムが正常だったら、これは偽性高カリウム血症だと言えます。血小板が異常に高値の場合です。
血小板がたくさんあると、血液が固まる時にカリウムがたくさん放出され、カリウムが高いと報告されてしまうようです。復習ですが、血液生化学、いわゆるプレーン採血は、血液に抗凝固薬を入れないで血液を固まらせ、固まった部分は取り除いて検査をします。血液が固まるまである程度の時間がかかるため、血液生化学検査は例えば10分では結果は出ません。
でも茶色のスピッツに何か入ってますよ!と言う貴方、するどいです。あれは凝固促進剤であり、検査室の人が必要なものであって、我々患者さんのそばにいる人間にはあまり関係ありません。間違っても血液を注射器で採血し、茶色のスピッツに最初に血液を入れるようなことはしていませんよね。極論を言えば、注射器のまま検査室に提出し、検査室で茶色のスピッツに入れても良いのです、あれは。
よって偽性高カリウム血症を予防するには、血液に抗凝固薬を入れて検査すれば良いです。何でも良いのですが、血液ガスの注射器には抗凝固薬が入っていて、カリウム塩ではありません(通常ヘパリンリチウムです)。
血小板が多い人でカリウムが高いと報告されたら、もちろん心電図は直ぐとってカリウムが高い可能性も探りますが、血液ガス分析をやってみましょう。
緊急の場合には、カリウムをプレーンの採血でオーダーすると20分ぐらいは結果が出ませんから、結果が1分もあれば出る血液ガス分析もしましょう。
ちなみに、血小板と言えば、「はたらく細胞」の血小板を思い出してしまいます。可愛すぎます!
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