2020年7月2日木曜日

空気が入ったらどうすべきか

 血液ガスを静脈で採血するように指示を出して、朝結果を見ると、PO2が75Torrだったりすることがあります。静脈血液ガスのPO2は通常50Torr以下で、ほとんど40Torr以下です。

 なのに75Torrもあるのは何故なのでしょうか???大きな声では言えませんが、ある病院では、昔看護師さんが動脈血をとっていましたので、その病院では看護師さんが気を利かせて動脈血をとってくれたということになりますが、当院はそうではありません。まさか、誤って動脈を刺してしまったなんて事もないでしょう。

 その原因は、シリンジに空気が入ったためと思われます。血液を空気に触れたままにすると、血液は空気の酸素分圧と同じ値に近づきます。空気のPO2はいくらかというと、160Torr程度です。計算は760mmHg×0.0209です。あれ?150じゃなかったの?と言う方は鋭いです。空気は水蒸気で飽和していませんので、37度における飽和水蒸気圧である47Torrを760Torrから引かないので、やや高いです。

 よって、採血時に空気が入ったのに、それを出さないで検査に出し、検査するまで少し時間が経つと、PCO2は低下(空気のCO2はほぼゼロ)、PO2は状況により上がったり下がったりします。静脈血の検体であれば、PO2は上昇します。

 なので、採血時に血液が混じった場合、面倒でも空気は出すようにしましょう。まあ、静脈の検体では酸素を評価することはありませんし、もともと静脈血はPCO2も評価が難しいと言われていますから、気にしなくても良いのかもしれませんが、折角行う検査は正確にやりたいですね。

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