高齢の男性が、著明な循環血液量減少にて来院されました。意識は清明でしたが、脈拍数は135/分で血圧は100前後でした。
血液ガス分析のデータ
pH 6.785
PCO2 28.5 mmHg
PO2 226 mmHg(酸素10リットル/分投与)
HCO3 4.2 mmol/L
BE -30.7 mmol/L
Lac 19.15 mmol/L
血液生化学検査のデータ
Na 127 mEq/L
K 4.6 mEq/L
CL 92 mEq/L
P 16.9 mg/dL
Alb 2.4 g/dL
AG 35 アルブミン補正をすると 36.56
まず酸素化能です。
A-aDO2=(760-47)×0.9−226−28.5÷0.8=380.1となるため、激しい酸素化能障害があります。代償性ショック状態ですので大量輸液と気管挿管となりました。
pH<7.4でPCO2<28.5のため、これは代謝性アシドーシスであると分かります。
代謝性変化の時は、PCO2=HCO3+15程度であれば代償の範囲だと分かります。計算すると19.2であり、PCO2はそれより高いです。よって、呼吸性アシドーシスを伴っています。
ΔAG=36.56−12=24.56で、補正HCO3=HCO3+ΔAG=28.76となり、軽度の代謝性アルカローシスも伴っています。もしかしたら、AGが上昇しない代謝性アシドーシスもあるかも知れません。
診断をまとめると以下のようになります。
酸素化能障害(気管挿管が必要)
呼吸性アシドーシス
AG上昇型代謝性アシドーシス
代謝性アルカローシス(AG非上昇型代謝性アシドーシスもあるかも)
次回はこの患者さんをStewart法で解釈します。
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