以前も書きましたが、血液ガス分析のデータの中には実際に測定していないものがあります。小数点以下の数値まで出ているから正確な気がしますが、実はそうではありません。
pH、PCO2、PO2は実際に測定していますが、HCO3やBEは計算値です。測定値にある程度誤差がありますから、当然計算値にも誤差が出ます。
pH=6.1+log([HCO3]/0.03×[PCO2])
と言う関係がありますので、pHとPCO2が測定できれば、以下のような計算で算出できます。
[HCO3]=0.03×[PCO2]×10^(pH-6.1)
pHが7.4だった場合、PCO2が40だったとすると、HCO3は23.94となります。色々調べたところ、PCO2は±2ぐらい誤差が出る可能性があるようです。PCO2が42でpHが7.4だとHCO3は25.14となります。PCO2が38だとHCO3は22.75となり、HCO3は2.39の幅を持った範囲になります。pHの誤差も出ると考えるともう少し幅が広くなるのでしょうか。
よって、HCO3が5以上上がったり下がったりしているなどがなければ、誤差の範囲と考えて経過観察するのも良いかもしれません。
例えば、こちらの論文では、二つの器械を使って計算したところ、一つの器械ではアルカローシスと診断されたのに、もう一つの器械ではアシドーシスと診断された例があると書かれています。知りませんでしたが、器械によってHCO3算出の計算方法や、係数が違っているのだそうです。
そう言うのは大変困りますが、検査データはある幅を持った値であることを忘れないようにしたいですね。
患者さんの状態なども考慮して、総合的に判断しなければなりません。データに惑わされないようにしましょう。
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