2020年2月13日木曜日

肺胞気式でPCO2を何故呼吸商で割るのか?

 肺胞気式という式があります。肺の一番末端である肺胞に、酸素がどのぐらい存在するのか?を計算する式です。肺胞にどのぐらい酸素があるのかを直接測定できないため、とても重要な式です。以下に示します。

PAO2=PIO2-PACO2/R

 簡単な式ですが、用語の解説を以下にします。

 PAO2は肺胞の酸素分圧を示します。Pは分圧、その次の文字は、大文字だと気体中の測定値を示し、小文字だと液体中の測定値を示します。Aはalveolarと言う英語の略で肺胞という意味です。
 PIO2は、吸入したガスの酸素分圧です。通常PIO2=(760-47)×FIO2で示されます。760は1気圧です。標高の高いところで測定した場合には、760より低くなります。47は37度における飽和水蒸気圧で、肺胞に行くまでに吸入したガスは加湿されますので、水蒸気が圧を奪うと言うことです。体温は37度と仮定しています。低体温だったらどうするのか?等とやり出すときりがないので、通常の診療では、37度として考えて良いです。
 FIO2は吸入酸素濃度です。FIO2は50%等と言いますが、正確には、0.4と言います。Fはfractionの略で、分数とか小数という意味があるようです。酸素を吸っていない場合には、FIO2は0.21程度ですので、PIO2=713×0.21=150程度になります。
 PACO2は肺胞における二酸化炭素分圧です。これは直接測定できませんが、二酸化炭素は容易に肺胞と血液の間を行き来出来ますので、ほぼPACO2=PaCO2です。動脈血二酸化炭素分圧ですね。これは血液ガスで測定できます。
 Rは呼吸商と呼ばれる物で、通常の生活をしている人は0.8です。酸素を10使って二酸化炭素を8排泄していると言う状態です。

 よって、肺胞気式を簡単に書けば、PAO2=150-PaCO2/Rとなります。

 ところで、何故Rで割るのか考えたことがありませんでした。田中竜馬先生の本に書かれていて、田中先生も感動しませんか?と書いておられますが、私も何度目かに読ませていただいてやっと感動しました!

 肺胞気式のPaCO2は、PaCO2(つまりPAO2)が直接分圧を横取りするから入っているのではなく、消費される酸素の量を示すために入っているのです。

 詳しく知りたい方は、こちらの論文に計算式が載っています。理解するのに時間がかかりました(私だけ?)が、なかなか面白いです。

2020年1月2日木曜日

HCO3に15を足してみましょう

 呼吸性アシドーシスやアルカローシスがあるかどうかをチェックする場合、HCO3に15を足しましょう。超簡単ですね。

 例えばHCO3が15と低値(24程度が正常値です)を示す、代謝性アシドーシスであったばあい、15に15を足して30程度が予想されるPaCO2です。
 もし、PaCO2が40であれば、CO2は正常範囲ですが、代謝性アシドーシスの代償が不十分であり、呼吸性アシドーシスもあると考えます。また、PaCO2が25であった場合、やはり、PCO2が低いので呼吸性アルカローシスがあると考えます。
 これはどんな場合にも当てはまるそうです。

 よって、血液ガスをとったらHCO3に15を足してしましょう。そして、PacO2がその値と同じ位であれば、PaCO2が下がっていたとしても、それは代償の範囲であると考えることが出来ます。

2020年1月1日水曜日

低アルブミン血症があると代謝性アルカローシスになります

 皆様あけましておめでとうございます。

 今年はこのブログをもっと頻繁にアップしたいと考えました。よろしくお願いします。

 さて、今年の最初はアルブミンです。私も知りませんでしたが、アルブミンは酸なのだそうです。酸とは「水溶液中で電離して、水素イオンを生じる物質」と定義されています。

 アルブミンは血液中でHイオンを放出しますので酸となります。

 よって、アルブミンが低くなる(高くなることはあまりないので初心者は考えなくて良いでしょう。私も初心者)と代謝性アルカローシスになります。

 私の受持患者さんは、血液ガスをとると代謝性アルカローシスの人が多かったので、ずっと疑問に思っていたのですが、これを知ってとてもスッキリしました!生理食塩水を入れても治るはずはなく、アルブミンが上がるように栄養管理をする以外にないと言うことが分かりました。

<今回の極論ポイント>
 血液ガス分析をしたら、低アルブミン血症がないかチェックしましょう。

2019年12月31日火曜日

Stewart法を勉強しましょう、リンをオーダーしましょう

 最近Stewart法という血液ガス分析の方法が注目されているようです。私も勉強中ですが、非常に面白いです。是非皆さんも!

 英語が得意な方は、こちらのサイトなどいかがでしょうか。

 私もしっかり離解していないので、一つずつ、、、、、、、

 取りあえず、血液ガス分析、生化学検査としてNa、CL、リン、アルブミンを測定します。

 それを用いて強イオン差(SID)を計算します。SIDは以下の二通りで計算できます。
①Na-CL
②HCO3+Alb(mEq/L)+P(mEq/L)
  =HCO3+Alb(g/dL)×2.8+P(mg/dL)×0.6

 通常両者は同じなのですが、差が出る場合があり、①-②をSIDギャップと言います。

 今回は書きませんが、②とSIDギャップ、Na、CL、Alb、Pの6つが高いか低いかで代謝性アシドーシスの鑑別が出来るそうです。

 少しずつ勉強しましょう。

<今回の極論ポイント>
 血液ガスをオーダーしたら、アルブミンとリンもチェックしてみましょう。オーダーする習慣がなければ、今度からオーダーしましょう。

2019年12月30日月曜日

電解質は血液ガスで見て良いのか?

 非常に久しぶりの投稿です。

 血液ガス分析をすると、一緒にナトリウムとカリウムが測定できます。よって、自動的にアニオンギャップも計算されます。非常に便利ですが、解釈に注意が必要だって知っていましたか?!

 ある先生の本に書いてありましたが、血液ガス分析の器械を作っている業者さんが、電解質はあくまでオプションですので、、、、、、、と言われたそうです。

 血液ガス分析で測定されたNaはやや低く、CLはやや高く測定されるのだそうです。血液ガス分析では全血を検体とするのに対して、生化学検査は血清を検体とするので、そうなるのだそうです。

 よって、血液ガス分析で自動的に計算されているアニオンギャップは、やや低めに出ると考えておいた方がよいです。アメリカでは生化学検査としてHCO3を測定するのが普通だそうで、アメリカの本を読む時には注意しなければならないようです。

 よって、血液ガス分析だけをすると言うのはあまり推奨されないかも知れません。上記の欠点?を知っていれば良いのですが。以前勤めていた病院のICUには、血液ガス分析の器械がありましたが、電解質は測定できないように設定が変更されていました。それいいかもです。

<今回の極論ポイント>
 血液ガスを採血したら、生化学で電解質もオーダーしましょう。

2019年4月5日金曜日

pHはピーエッチ?ペーハー?

 久しぶりの投稿です。今以下の本を読んでいます。初学者にも分かりやすい本ですのでお勧めです。

 酸塩基平衡の考え方 丸山一男著 南江堂

 その本の最初の方に、pHをペーハーと読むのは年配者と書かれていて驚きでした!そっか、これはドイツ語読みなので、現在は英語読みでピーエッチと教えているのだそうです。学校の先生をしている人に聞いたら、やはりピーエッチと教えているんだそうです。

 医療業界ではピーエッチと聞いた事があまりないのですが、それは働き始めるとみんながペーハーと言っているから訂正されるためなんだそうです。

 これから研修医の先生たちがピーエッチと言っていたら訂正しないように気をつけないといけないですね。

2018年11月28日水曜日

痛みが強くて過換気になった患者さん

 30歳ぐらいの男性が尿管結石による痛みで来院されました。激しい痛みのため冷や汗をかいていました。ペンタゾシン30mgを静注して対応しました。

 酸素投与なしでSpO2が100%を示しており、これは異常値とされていますので、血液ガスをとりました。呼吸回数は30/分でした。

pH 7.660
PaCO2 16.3 mmHg
PaO2 118.4 mmHg
HCO3 18.0 mmol/L
Anion Gap 15.3 mmol/L
Lac 1.51 mmol/L

 と言うデータでした。まず酸素可能を評価します。A-aDO2=150−118.4−16.3/0.8=11.2となり、酸素化能障害はありません。低酸素のために過換気になったのではないと考えられます。

 pHの上昇とPaCO2の低下が見合っているかどうか考えます。PaCO2が1低下するとpHは0.008上昇するとされていますので、予想されるpH=7.4+0.008×(40−16.3)=7.59程度となります。過換気による異常+代謝性アルカローシスがあると考えて良いでしょう。しかし、この人では追求しませんでした。

 結構強そうな男性でも痛みによって過換気になるのだなあと思った一例でした。