2021年6月21日月曜日

A-aDO2の正常値はどれを採用したら良いの?

 血液ガスで酸素化能を評価する場合、肺胞気-動脈血酸素分圧較差をチェックすべきです。が、この値の正常値は色々あってどれを使ったら良いのか分かりませんね。今回はそれについて調べてみます。

A-aDO2=0.3×年齢

A-aDO2=0.5×年齢

A-aDO2=2.5+0.21×年齢PMID: 5963295)

A-aDO2=2.5+0.25×年齢(PMID: 29489223)文献では(年齢+10)÷4とありました。

A-aDO2=4+0.25×年齢(こちらに載っていましたが、引用文献が見つかりません)

A-aDO2=2.5+FIO2×年齢(PMID: 5963295)

A-aDO2=53未満(PMID: 17127809


 先に結論を。A-aDO2が50Torrを越えていたらまず異常と考えてよく、10Torr以下ならまず間違いなく正常でしょう。

 また、年齢を考慮に入れると、20歳以上の方では、0.5×年齢を越えていたら明らかに異常です。2.5+0.21×年齢以下であればまず異常なしです。

 20歳以下では0.3×年齢が一番厳しい基準であり、これをクリアすれば酸素化能障害はないと言えるでしょう。2.5+0.25×年齢が一番緩い基準であり、これを上回れば、酸素化能障害があると考えて良いでしょう。

 個人的には0.3×年齢が一番覚えやすくていい気がします。


 まず、こちらの論文を見てください。A-aDO2の正常値を出しています。

 対象となった患者さんの年齢は18歳から95歳までで、非喫煙者で過去にも喫煙既往歴のない以下の被験者を選択し、男性164人、女性769人のデータを集めたそうです

(1)過去及び現在において心肺疾患を有さず、現在呼吸器症状(喘鳴・咳・痰・労作時息切れ)なし

(2)肥満でない(標準式より120強を肥満と定義)

(3)神経筋疾患や円背など胸郭障害を除外

(4)測定所(病院・施設・保健所)に歩いて来院

(5)腎不全・肝不全などの重症例を除外

(6)インシュリン治療中の糖尿病や症状のある副鼻腔炎等肺機能に影響を及ぼすと考えられる疾患は除外

(7)高血圧・不全麻痺のない脳血管障害・耳鼻科・眼科・皮膚科領域疾患・その他の局所疾患・内分泌疾患・糖尿病・精神疾患・消化器疾患・四肢障害・局所の癌は除外せず

 結果は以下のグラフです。

 
 このデータを見ると、0.5×年齢をとれば、特異度が最も高いような気がします。どれを使っても誤差の範囲と考えることも可能です。

 血液ガスオタクとしては、以下の式が一番格好いい気がします。

A-aDO2=2.5+FIO2×年齢

 貴方はどれを採用しますか?


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