以下に日本語訳を書いてみます。
表2 糖尿病性ケトアシドーシスにおける重炭酸ナトリウムの投与に関する重要な所見と結論
軽症から中等度のアシデミア(pH≧7.0)に対する重炭酸ナトリウムの使用は
死亡率や入院期間を減らす効果はない
一次的にアシドーシスを改善する
ケトン血症の改善を遅らせる
中枢神経のアシドーシスを悪化させる傾向にある
カリウム補充量を増やす
組織の低酸素を悪化させる
小児で脳浮腫を発生させ、入院期間を延長させる
治療後のアルカローシスをきたす
重症のアシデミア(pH<7.0)に対する重炭酸ナトリウムの使用は
小規模無作為試験で有病率や死亡率に差を認めなかった。
糖尿病性ケトアシドーシスに対するルチンの重炭酸ナトリウムの投与は調べた範囲では支持されていなかった。
重炭酸ナトリウムの投与を考慮しても良い状況は以下の通り
重症アシドーシス
致死的高カリウム血症
生理食塩水による代謝性アシドーシスからの回復
以下解説です。私の個人的な考えも含んでいます。気になる方は原文にあたっていただき、参考文献が記載されているので調べてみてください。
・死亡率や入院期間を改善するデータはない
今はエビデンスの時代ですので、アシドーシスを改善すれば良いことがありそうだと思っても、そう言うデータがないと、、、、、ですね。患者さんの症状が早く改善するというエビデンスがあるかも知れませんので、これだけでメイロンを使うな!とは言えないとは思います(が、私は滅多に使いません)。
・一時的にアシドーシスを改善する
良いこともあると言うことなんでしょうが、すぐアシドーシスに戻ってしまうということでしょう。
・ケトン血症の改善を遅らせる
文献を見たらよく分かりませんでした。すみません。重炭酸ナトリウムの投与によりケトンの産生が増えるようです。
・中枢神経のアシドーシスを悪化させる傾向にある
重炭酸ナトリウムはNaとHCO3の溶液です。HCO3は多少はCO2になってしまいます。血液脳関門はCO2の方が通過しやすく、重炭酸ナトリウムの投与により脳内にCO2が入ってアシドーシスになるかも知れません。これに関しては否定的な見解も多いようです。
・カリウム補充量を増やす
重炭酸ナトリウムは高カリウム血症の治療にも用いられる(のですが、最近はそれほどカリウムを下げないので有用ではないという意見もあります)ので当然ですね。
・組織の低酸素を悪化させる
赤血球内の解糖系が抑制されるため、2,3-DPGが低くなります。そうなるとHbは酸素を放出しにくくなります。その状態で重炭酸ナトリウムを投与すると、酸素解離曲線は左方移動して、さらに酸素を放出しにくくなります。2,3-DPGは数日間回復しないようです。
。治療後アルカローシスになる
一般的に重症患者さんは改善してくると代謝性アルカローシスになります。輸液や輸血に含まれる乳酸やクエン酸などが代謝されてHCO3になるし、アシドーシスの原因であった物質も代謝されてHCO3になるからでしょう。代償性の呼吸性アシドーシスによる低酸素とかカリウムを失うとか、何か問題があれば別ですが、一般的に自然に治ります。
以下はよく分かりませんので省略しました。すみません。
0 件のコメント:
コメントを投稿