前回紹介させて頂いたたねぽん法ですが、簡単なだけでなく、ミスも少ないと論文に書かれています。英語の論文に書かれていますが、やはり日本語が良いですよね。訳してはしょってみます。
症例が載っています。66歳の男性で糖尿病があるようです。採血結果は以下の通りです。
Na 138 mmol/L
Cl 96 mmol/L
Alb 3.6 g/dL
HCO3 29 mmol/L
まずたねぽん法でやってみます。AGの計算がいらないのも面白いです。
Step 1 補正HCO3=Na−CL−2.5×Albを計算
補正HCO3=138−96−2.5×3.6=33
Step 2 補正HCO3と測定されたHCO3を比較
33>29で補正HCO3の方が高い
→ アニオンギャップ増加型代謝性アシドーシス
Step 3 補正HCO3とHCO3の正常値を比較
33 > 25(静脈血HCO3の正常値を25とした)で補正HCO3の方が高い
→ 代謝性アルカローシス
一般的に言われているアニオンギャップ法でやってみます。
Step 1 アニオンギャップを計算。
AG=Na−CL−HCO3=138−96−29=13
Step 2 AGをアルブミンで補正
補正AG=AG+2.5×(4−Alb) アルブミンの正常値を4としています。
=13+2.5×(4−3.6)=14
Step 3 補正AGをAG正常値と比較
14 > 10 (AG正常値を10とした)で補正AGの方が大きい。
→ アニオンギャップ上昇型代謝性アシドーシス
Step 4 ΔAGを求める。
ΔAG=14−10 =4(AG正常値を10とした)
Step 5 ΔHCO3を求める。
ΔHCO3=HCO3正常値−HCO3測定値
=25−29 = −4
Step 6 ΔAGとΔHCO3を比較
4 > −4でΔAGの方が大きい
代謝性アルカローシス
診断は同じになりますが、例えばStep 5において、計算を逆にしてしまい、ΔHCO3とΔAGが同じだと間違える可能性があります。そうするとAG上昇型代謝性アシドーシスのみとなってしまい、代謝性アルカローシスの合併を見逃してしまいます。
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