2021年6月26日土曜日

たねぽん法の良い点

  前回紹介させて頂いたたねぽん法ですが、簡単なだけでなく、ミスも少ないと論文に書かれています。英語の論文に書かれていますが、やはり日本語が良いですよね。訳してはしょってみます。


 症例が載っています。66歳の男性で糖尿病があるようです。採血結果は以下の通りです。

Na 138 mmol/L

Cl 96 mmol/L

Alb 3.6 g/dL

HCO3 29 mmol/L

 まずたねぽん法でやってみます。AGの計算がいらないのも面白いです。

Step 1 補正HCO3=Na−CL−2.5×Albを計算

 補正HCO3=138−96−2.5×3.6=33

Step 2 補正HCO3と測定されたHCO3を比較

 33>29で補正HCO3の方が高い

 → アニオンギャップ増加型代謝性アシドーシス

Step 3 補正HCO3とHCO3の正常値を比較

 33 > 25(静脈血HCO3の正常値を25とした)で補正HCO3の方が高い

 → 代謝性アルカローシス


 一般的に言われているアニオンギャップ法でやってみます。

Step 1 アニオンギャップを計算。

 AG=Na−CL−HCO313896−29=13

Step 2 AGをアルブミンで補正

 補正AG=AG+2.5×(4−Alb) アルブミンの正常値を4としています。

 =13+2.5×(4−3.6)=14

Step 3 補正AGをAG正常値と比較

 14 > 10 (AG正常値を10とした)で補正AGの方が大きい。

 → アニオンギャップ上昇型代謝性アシドーシス

Step 4 ΔAGを求める。

 ΔAG=14−10 =4(AG正常値を10とした)

Step 5 ΔHCO3を求める。

 ΔHCO3=HCO3正常値−HCO3測定値

 =25−29 = −4

Step 6 ΔAGとΔHCO3を比較

 4 > −4でΔAGの方が大きい

 代謝性アルカローシス


 診断は同じになりますが、例えばStep 5において、計算を逆にしてしまい、ΔHCO3とΔAGが同じだと間違える可能性があります。そうするとAG上昇型代謝性アシドーシスのみとなってしまい、代謝性アルカローシスの合併を見逃してしまいます。

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