2020年6月22日月曜日

代謝性アシドーシスの3ステップ法

 日本内科学会雑誌2019年6月号P.1177〜1180の受け売りです。この雑誌は1年たつと、JSTAGEで公開され、一般の人でも論文に無料でアクセスできます。

 取り上げる論文は、今月6月10日頃から一般公開される予定でしたが、何故かこの論文だけ公開されません。「苦手を得意に!血液ガスOne Step more」というシリーズで第3回なのですが、何故か第1回と2回も公開されていません。何かあったのでしょうか。

 私は内科学会に入っているので雑誌は持っており、血液ガスに関しては興味を持っていましたが、この論文見逃していました。雑誌も捨ててしまい、ネットの公開を待っていたのですが、、、、、

 代謝性アシドーシスの場合には、Boston法という方法で解析すれば簡単だそうです。3つの暗算(それも足し算と引き算のみ)をするだけです。もちろんですがpHが高い時は使えません。



 アシデミア(pHが7.35未満)であれば、ステップ(1)をします。

(1)AG(Na−CL−HCO3)を計算
  AGが12以下ならAG非上昇型(non-Gap)アシドーシス ステップ(3)へ。
  AGが12以上ならAG上昇型(Gap)アシドーシス ステップ(2)へ。

(2)Na−CLを計算
  36未満なら代謝性アシドーシス(AG非上昇型)も合併している。
  36を越えるなら代謝性アルカローシスも合併している。
  36であればAG上昇型代謝性アシドーシスのみ

(3)HCO3+15を計算
  PaCO2<HCO3+15 呼吸性アルカローシス
  PaCO2=HCO3+15 呼吸性代償
  PaCO2>HCO3+15 呼吸性アシドーシス

 この方法ではアルブミン補正が入っていませんので、アルブミン補正はした方が良いでしょう。補正AG=AG+2.5×(アルブミンの正常値−Alb)です。アルブミンの正常値は4でいいでしょう。4.4という文献もありましたが、2.5×0.4=1ですので誤差の範囲です。

 Na-CLの正常値は36だけかというとそうではないでしょう。36±5ぐらいはあると思われます。Na-CLが30以下であれば明らかにnon-Gapアシドーシスがあるでしょうし、40以上であれば代謝性アシドーシスがあるでしょう。両者が合併した場合はどうなるのか?興味深いところです。

 しかし、この方法は他の方法に含まれている物です。緊急で解釈が必要なのはアシドーシスだけではないかと思いますので、緊急時には役立つのではないかと思われます。が、極論を言えば、アシデミアであればBEと乳酸を見たら良いと思います。この二つを表示しない血液ガスの器械は今の日本にはないのではないでしょうか。BEが低い、あるいは乳酸が高い、あるいは両方があればヤバいと思えば良いです。BEは使うべきでないという意見もあるのですが、私は使うべきだと思います。後でちゃんと解析すれば良いだけです。BEだけ見て終わりでは確かにいけません。

0 件のコメント:

コメントを投稿