2020年6月8日月曜日

HCO3は計算値?

 血液ガス分析のデータを見ると色々な値が載っています。最近の物は乳酸だけでなく、電解質やヘモグロビンまで載っています。他の検査がなくても血液ガス分析だけでもかなりの診断が出来そうです。

 救急科専門医の筆記試験に出題されていますが、実際に測定している項目はどれか知っていますか?

平成16年度実施救急科専門医・認定医筆記試験問題
問題10 血液ガス分析装置で計算値として表示するのはどれか。
(a)PO2
(b)PCO2
(c)pH
(d)HCO3-

(e)Hb

 この問題の答えは(d)です。pH=6.1+log([HCO3]/0.03×PCO2)なので、

[HCO3]=0.03×PCO2×10^(pH-6.1)と言う計算になります。

 しかし、アメリカなどでは血液生化学検査の項目にHCO3(正確にはtCO2)があり、血液ガスをとらないこともよくあるようです。論文(参考文献)によれば、血液ガスのHCO3(pHとPCO2から計算した値)と生化学検査で得られたtCO2はほぼ同じだという事です。日本でも血液生化学検査でtCO2(ほぼHCO3と同じ)を測定している病院があるのですね。

 普通に臨床をしているだけならあまり関係ありませんが、英語の論文を読んだり、別の病院(血液生化学でtCO2を測定している病院)の先生や外国の人と血液ガス分析についてディスカッションする場合には、血液ガスをしなくてもHCO3が出せることを知っておきましょう。

参考文献
 楠木 啓史ら:生化学分析装置における血清重炭酸塩(総 CO2)の 測定. 医学検査 Vol.67 No.1 2018

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