2017年11月21日火曜日

酸素投与量を下げたい時どうするか?

 以前酸素の投与量をどう予測するかについて書きました

 今日は酸素を下げる時どうするか?と言うお話です。原則は少しずつ下げると言う事なので、1リットル/分ずつ減らしていきます。でも、私のようにせっかちな性格であれば、もっと早く下げていきたいです。その時に役立つお話です。

 腹痛で来院された80歳ぐらいの男性です。SpO2が安定しなかったので、救急隊の方がフェイスマスクで酸素を4リットル/分で投与して運んで来てくれました。救急は悪い方を採用しますので、SpO2は悪いと考えるのが正しいので、すばらしい判断です。

pH 7.447
PCO2 30.9 mmHg
PO2 142.4 mmHg

 吸入酸素濃度FIO2は、酸素投与1L/分で約0.04上昇しますので、0.2+0.04×4=0.36です。厳密にはFIO2の単位は%ではありません。FIO2とPaO2はだいたい比例するので、PaO2を100 mmHg程度にしたい場合、0.7(100÷142.4=0.712)ぐらいをFIO2にかければ良いです。0.36×0.7=0.25ぐらいですので、経鼻で1リットル/分に下げても良いと言うことになります。

 が、余裕をもって2リットル/分ぐらいにするのが良いでしょうし、4リットル/分の投与ならば1リットル/分ずつ下げても良いでしょうね。
 また、この計算はPaCO2の値について考慮に入れていませんので、状態が落ち着いてPaCO2が高くなれば、酸素は下げてはいけないかも知れません。その事については、別の記事で書きますので余裕があれば、ご覧ください。

 血液ガスは毎日少しずつが原則ですから!

<今回の極論ポイント>
 酸素を下げる時は少なめにが原則です。
 せっかちな人は、酸素分圧と吸入酸素濃度がだいたい比例する事を利用しましょう。

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