代償という言葉があります。一般的には償いということですが、血液ガスの分野ではちょっと違います。英語ではcompensationと言います。意味は日本語と同じです。
人間の身体はすごいもので、何か問題が発生すると、その問題による不利益をできるだけ少なくするように、別のシステムが働いて、不利益を最小限にしようとします。血液ガスの分野では、pHが変化する問題が発生した場合、pHの変化を最小限にしようとする働きを代償性変化と言っています。
つまり、アシドーシスとなるような病気が発生した場合、その変化を最小限、つまりpHの低下を最小限にしようと、pHを上げるような働きが起こります。これは代償性変化と呼びます。メインの異常ではないので、アルカローシスとは言わないんだそうです。
では、以下の患者さんのように、代謝性アシドーシスと呼吸性アルカローシスがあった場合、どちらがメインで、どちらが代償なのでしょうか?あるいは、どちらもメインか、どちらも代償なのでしょうか?
pH 7.376
PCO2 28.0 mmHg
PO2 92.4 mmHg
HCO3 16.0 mmol/L
BE -7.4 mmol/L
Na 133.7 mEq/L
K 4.61 mEq/L
CL 101 mEq/L
Anion Gap 21.3 mmol/L
乳酸 3.93 mmol/L
答えは簡単です。pHが正常値の7.4より高いか低いかを見る。それだけです。もちろん例外もありますが、基本それで良いです。
つまりこの患者さんでは、代謝性アシドーシスと呼吸性アルカローシスがあるのですが、pHが7.4より低いため、アシドーシスがメインだと言うことです。
何故かと言えば、「代償性変化はpHが7.4を越えて変化するほどは起こらない」というのが原則だからです。
逆に、こんな感じの値であれば、代謝性アシドーシスが代償性変化なのだそうです。
pH 7.465
PCO2 21.3 mmHg
これはわざと他を省略しました。簡単に言えば、pHとPaCO2だけ見れば良いと言うことです。PaCO2が低下すればpHは上昇し、PaCO2が上昇すればpHは低下するので、それにあっていれば、呼吸性なんとかがメインで、この原則に反していれば、呼吸性なんとかは代償だと言うことです。
pHが7.4以下
PaCO2が上昇 呼吸性アシドーシス
PaCO2が低下 代謝性アシドーシス
pHが7.4以上
PaCO2が上昇 代謝性アルカローシス
PaCO2が低下 呼吸性アルカローシス
と言う風になります。
今日は複数の酸塩基平衡の問題があれば、pHを見て、7.4以上であれば何とかアルカローシスがメインであり、7.4以下であれば何とかアシドーシスがメインだと言うことを学びました。
もし、pHが7.4だったらどうするのですか?と思う人、あなたは鋭いです!!答えは私にも分かりません、、、、、、、
<今日の極論ポイント>
複数の酸塩基平衡の問題があれば、pHを見て判断しましょう。
pHが7.4以上ならば○○アルカローシス、7.4以下ならば○○アシドーシスがメインです。
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