2017年11月12日日曜日

SpO2が97%でも肺塞栓は否定できません。

 一般的に感度がどれだけ高かろうと、ある疾患を否定するのは難しいです。

 たぶん、たった一つの例外は、「女性であれば妊娠である」という検査です。女性でなければ妊娠ではないと言えます。

 肺塞栓は怖い病気で、救急外来で鑑別しなければならない疾患の一つです。肺塞栓の特徴として低酸素、あるいは酸素化能障害が挙げられます。よって、酸素投与をしない状態でSpO2が低いのが普通です。

 しかし、SpO2が高い(例えば97%)であっても肺塞栓は否定できません。この事は以下の本にも書いてあります。注文はこちらからどうぞ(COIはありません!)



 今回の患者さんは50歳の女性です。数日間継続する息切れが悪化すると言うことで来院されました。

pH 7.451
PCO2 20.7 mmHg
PO2 103.2 mmHg
HCO3 14.1 mmol/L
BE -7.9 mmol/L
Na 134.6 mEq/L
K 3.97 mEq/L
CL 111 mEq/L
Anion Gap 13.5 mmol/L
乳酸 4.81 mmol/L

 軽度ではありますが、酸素化能障害があり(A-aDO2=21 mmHg)救急外来で担当した先生は直ちに造影CTを撮像しました。以下のように両側の肺動脈に肺塞栓がありました。

 SpO2が97%あっても肺塞栓を否定できないので、お忘れなく。過換気症候群と診断しないようにしましょう!

 パルスオキシメーター(SpO2)は誤差が2%程度あるのだそうです。本当は95%だったとしても、97%を示すこともありますので注意しましょう。

<今回の極論ポイント>
 SpO2は酸素が血液内に充分あると言うことを示しますが、酸素化能障害がないとは言えない。
 SpO2が良くても肺塞栓は否定できない。

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