2017年11月24日金曜日

二酸化炭素を考慮した酸素減量法

 前回、酸素投与量を下げる時にも、動脈血酸素分圧 PaO2と吸入酸素濃度 FIO2が比例することを考えれば良いというお話をしました。

 しかし、肺炎などで酸素化能障害が発生し、PaO2が低下してくると、通常は過換気になってPaCO2が低下し、PaO2の低下を食い止めようとします。

 そのような状態で得られた血液ガスデータを使って、酸素投与量を下げる時は、PaCO2が正常の40ぐらいになった状態を想像しなければなりません。今回はそう言う計算?を紹介します。

 今回の患者さんは75歳の女性です。腹痛で救急搬送されました。循環血液量減少と、外が寒かったために、末梢循環が悪かったためでしょうか、SpO2が上手く測れなくて、オーバートリアージで酸素投与(フェイスマスクで4リットル/分)をして搬送されました。Good job!です。

pH 7.447
PCO2 30.9 mmHg
PO2 142.4 mmHg

 A-aDO2を計算すると、以下の通りです。

A-aDO2=713×0.36ー142.4ー30.9/0.8=76 mmHg

 これが同じ値で変わらないとすれば、PaCO2が40 mmHgになると、FIO2が0.36の人のPaO2は、、、、、

PaO2=713×0.36ーPaCO2/0.8ーA-aDO2=713×0.36ー40/0.8ー76=130 mmHgぐらいになります。

 PaO2を100ぐらいに下げたいのであれば、100÷130=0.77ぐらいFIO2を下げます。0.36×0.77=0.277ということで、酸素は約2リットル/分に下げられます。マスクではあまりよろしくないので、経鼻カニュラに変更することになりますね。

 前回の計算と比較して頂ければいいのですが、あまり大きな違いはありません。よって、現場ではPCO2が低くても、酸素濃度は比例するという風に考えて酸素投与量を下げていけば良いでしょう。あるいは過換気になっている状態で酸素投与量を下げることはない(患者さんの状態が改善していない)ので、気にしないと言う風でも良いでしょう。

<今回の極論ポイント>
 酸素投与量を下げる場合、二酸化炭素の事を考慮する必要はありません。

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